4人の泥棒と少女のメモワール 公演情報 PHANTASISTA「4人の泥棒と少女のメモワール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    前説では、6年ぶりの本公演で 一言でいえば「コメディ」とのこと。さらに毎公演ともアドリブが多く上演時間が長くなる可能性も…。予定では2時間であったが、結果的には2時間10分(途中休憩なし)になった。

    物語は 緩い笑いの場面を繋いで面白可笑しく観せるが、その魅力は何といってもスピードとキレのあるアクションシーンであろう。推理劇風に展開していくが、緻密というよりは楽しんで観てもらうといったサービス精神に溢れた作品である。
    当日は若い女性を中心に ほぼ満席であったが、なるほど 出演者は若くてカッコいい男優ばかりだ。
    また楽しみな劇団に出会えたことを嬉しく思う。
    【日替わりゲストは 小島ことりサン】

    ネタバレBOX

    冒頭、舞台中央には 広げた傘1本。始まると可動式の衝立2枚を移動や回転させることで状況を作り出す。シンプルな舞台装置は、アクションシーンのスペースを確保するため。オープニングは、全員が舞台に立ちアクションダンスーその群舞を披露する。その後の 役者紹介を兼ねたアクションシーンは、後景の白幕に役者の顔と名前を映し出し、一人ひとり得物を持って動き回る。その得物も短刀・長刀、大鉈など様々で、その動作も一様ではない。

    説明では 泥棒ー怪盗レジェンドの物語。数々の宝を鮮やかに盗み伝説を作ってきたが、ある⽇突然引退し動向が分からなくなる。時が経ち、⼩さな⾚い靴を盗む記憶喪失の<或る男>が、度々「怪盗レジェンド…」という⾔葉を発する。その男が唯⼀思い出したʻʻ少⼥ʼʻとは何者か。富豪だが泥棒でもある<利籐五郎>は、執事の<瀬⽻⼤和>から怪盗レジェンドが活動を再開したという報告を受け、また怪盗レジェンドを尊敬する詐欺師の<⽯川⾼志>は、彼の⾏⽅を追っていた。頭に意味深⻑なノイズが流れる問題を抱えるスリの<遠藤翔>、その真の正体は…。全ては、“フランスの⾚”と呼ばれる⾚い宝⽯がこの物語の真相へと誘う。

    勿論、怪盗レジェンドや少女は登場しない。そこが公演の謎を深める要素になっている。この二人を登場させると時間軸の設定が難しくなる。少しネタバレするが、先に記した登場人物の中に怪盗レジェンドの息子がおり、<或る男>の記憶喪失と関係している。この<息子>と<或る男>を繋ぐ共通したモノが「“フランスの⾚”と呼ばれる⾚い宝⽯」である。
    自分が観(聞く)逃したのかもしれないが、怪盗レジェンドが息子(幼いという台詞)と別れたのはいつ頃か、<或る男>の少女が行方不明になった時期は定かではない。そこには時間的な隔たりがあり、人物を登場させるとリアル過ぎて 面白みに欠けるかも知れない。逆に登場させないことによって、観客(自分)の想像の中で人物像(年齢も含め)を立ち上げ、物語を膨らませることが出来る。さらに怪盗レジェンドの代わりに、別の悪<闇のシンジケート>集団を表すことで、赤い宝石やノイズ、記憶喪失といった人物に負わせた謎が解る仕組みも巧い。

    演出はコントのような笑いのシーンを小刻みに繋ぎ、テンポよく描く。その観せ方によってアクションシーンの調和性も生まれ、流れるような展開は観ていて心地良い。さらに日替わりゲストの小島ことりサンが白黒猫に扮し、別の意味合いを持たせる(箸休め的)笑い、コメディーリリーフとして上手く機能(役割を果た)していた。
    また音響は剣戟のSEの効果音、アップテンポな音楽を流し、物語の世界観を支えていた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/11/25 21:43

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