実演鑑賞
満足度★★★★★
切なく、すれ違いのドラマだった。あの世に行ってしまった家族に対して、僕らは本人の思い、考えを結局想像するしかない。そして、自分勝手な解釈で納得するしかない。後悔もするだろう。役者のセリフに共感した。麻里を救えず、俊一という他人の犠牲者を出してしまったことに対する夫の後悔、ラストの俊一と妻の切なすぎるすれ違い、思わず涙してしまった。
舞台上で役を生き抜いていた俳優陣の面々もとても素晴らしかった。様々な価値観、バックグラウンドが入り混じる中で本作は正解を求めるのではなく、ありのままを描く。結局なぜ真里と俊一は自殺したのか。観客の想像に委ねる、そうした姿勢もよかった。
だから演劇は素晴らしい。演劇はなくてはならない。再確認できた芝居であった。またみにきたい。