Machi Note マチノオト 公演情報 演劇ユニット思考動物「Machi Note マチノオト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    未見の団体…「Machi Note マチノオト」は「街ノート」と「街の音」というWミーニングのタイトル、そして街の風景を撮った写真が美しいフライヤーに興味を持った。その直感は見事に当たり、面白く そして考えさせる内容であった。

    コロナ禍を正面から捉えた物語であり、このようにストレートに表現した公演は初めてである。コロナ禍の光景を地域(コミュニティ)ラジオ局の放送を絡めながら点描する。物語は大きく4つの話を交錯させ、その街に生きている人々の暮らしを繊細に紡いでいく。演出は丁寧で、例えば もりかつ亭の引き戸の音と喫茶店の開き扉の音(ドアベル)を違えるなど実に細かい表現をする。そこに観せるといった工夫を感じ好感を持った。

    少し気になったのは、演劇という「額縁」の中を観ているようで、生活臭というリアルさが弱く 十分伝わらないのが残念なところ。演技力の問題なのか、行儀(整理)よい展開なのかはっきり分からないが、何となく客観的な観せ方に止まっていると思う。もっと突っ込んでコロナ禍に起きた出来事=今まで経験したことがないような事をリアルに描いてほしかった。物語でも密閉・密集・密接という三蜜を避けるような場面ー市民文化祭ーがあったが、従来の緊密・親密・濃密という人付き合いも大きく変化した。街の人々のリアルな思いがもう少し感じられれば…。

    それでも、コロナ禍における街風景の変わりようは解る。未見の団体であったが、思考する姿勢は志向をうかがわせる好公演であった。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手にラジオ局放送ブース、下手には もりかつ亭のカウンター、中央は2つのテーブル席、そして近くに入口を表す暖簾が掛かっている。勿論、カウンター席にはコロナ感染防止用のアクリル仕切版が立ててある。

    ラジオパーソナリティ柴崎あかり が街の人々をゲストに招き、時々のトピックを聞き紡いでいく。次のような話がオムニバスではなく、同じ地域、コロナ禍という同じ状況下で並行または交錯して展開していく。そこには特別な人々ではなく、庶民の暮らしが描かれている。ただ新聞やTVで紹介されたような出来事を表層的に並べた、といった感が拭えないのが残念なところ。

    第一話は、もりかつ亭とイベントヒーロー〈カーブマン〉の話。
    イエロー、レッド、ピンクの衣装を着た3人組は、イベントでよく見かけるヒーローショーで街興しに一役買っている。イエローは、亡父が遺してくれた もりかつ亭2代目、レッドは彼の幼馴染、そしてピンクは小学校教師だ。イベントも減り、もりかつ亭も営業時間の自粛で経営が厳しい。

    第二話は、街〈皆川市民〉文化祭をめぐる話。
    コロナ感染防止の観点から開催を見送ろうと主張する人々、一方 Zoomや展示といった工夫で市民交流を図りたい人々の対立を観せる。どちらの主張も正しく、街の活性化に対する思いと苦慮が描かれる。新しい取り組みは苦手で抵抗感がある。もしかしたら、コロナ禍が発想の転換を推し進めたかも知れない。

    第三話は、小学校(教育現場)におけるコロナ禍の影響。
    中央のテーブルを離し、職員室の机に見立てる。子供達(人形操演)へは、クラブ活動(太鼓の練習)の中止、六年生を送る会では密にならないように、といったコロナ以前とは違う取り組みを強いる。子供、教師とも精神的な負担は大きい。

    第四話は、かぶ農家ー地域生産・地域消費による生活防衛の話。
    コロナ禍との直接的な関係は弱いが、もりかつ亭の食材に繋げる巧さ。2代目は、父の味を踏まえつつ、自分の(独自)味を模索している。同時に、テイクアウトといった営業努力を描くことによってコロナ禍へ繋げる。単にコロナの影響だけではなく、よく聞くシャッター商店街を意識した街の活性化を描くことによって、物語に広がりを観せる。

    演出は、フラダンスやヒーローショーという動き、ラジオ番組で流す音楽、そして先に記した人形操演等、多彩な観せ方で観客を飽きさせない。全体を通して 真摯な印象、優しく心温まる公演であった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/11/08 05:07

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