闇にただよう顔 【満員御礼!11月6日17時追加公演決定!】 公演情報 岩崎企画「闇にただよう顔 【満員御礼!11月6日17時追加公演決定!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    硬質で骨太なノンフィクション作品。約60年前に起きた女子高生殺人事件を扱った法廷劇。舞台美術は四角いコロシアム内のような すり鉢状、何となく奈落を思わせる。色彩は黒一色、薄暗い照明ゆえ重苦しく緊張感を強いられる。実事件だから判決結果は分かっているが、公演を通して改めて事件の捉え方などを考える。けっして心地良い緊張感とは言えないが、それでも満足度は高い。

    事件の詳細は知らなくても、名前ぐらいは聞いたことがある有名な刑事事件、その法廷審理を順々に展開していく。同時に差別問題を糾弾している。「闇にただよう」とは、判決結果だけではなく、その事件に潜む背景と真実とは を暗示しているような。この背景等を描かないと、ただの裁判の再現ドラマに終わってしまうし、逆に描き過ぎると啓蒙もしくは警鐘劇になる。その微妙なバランス感覚の上に成り立っているようだ。
    演劇的な観せ方として、法曹三者の場所は固定せず、審理日に応じて変わる。時間的経過を表すとともに視点の違い、つまり差別・被差別(の立場)が解る巧さ。母と息子(被告)の回想シーンは、底である奈落で語り合う。上部(権力)からの睥睨・軽侮と見上げる姿という構図に問題提示が観て取れる。

    37年間の教職生活を終えた岩崎正芳氏が企画した公演であり、当日パンフに自身を「暴走老人の青春」と記している。教職から演劇界へ、ご自分も弁護士役を熱演していた。その姿から第二の人生とも言える演劇ーその遣り甲斐・生き甲斐を強く感じる。そして「青春は続く・・・。」とある。次回公演も楽しみである。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし) 追記予定

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    2022/11/04 17:23

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