実演鑑賞
満足度★★★★
モルドバの演出家による大胆でパフォーマティブな舞台。セリフは大幅にカットされている。人々の狼狽え、卑屈にはいつくばり、手揉みして賄賂を渡す様を目で見て、その愚かさを笑う。
筋はよく知られた通り、無一文の青年を、みんなが検察官と勘違いして歓待する。青年が従者を持っているあたり、当時のロシアの階級差を示す。青年のホラ話の演説、市長の見るグロテスクな悪夢、順番におっかなびっくり賄賂する行列、最後の福祉院長の密告等々、単純な話を大袈裟に戯画的に、面白おかしく演じた。
舞台上にずっと黒いマントに白塗りの男がうろつく。悪魔。最後のセリフに「なぜあいつを検察官なんて思い込んだのか。悪魔に誑かされたとしか思えない」とある。そこから発想した演出。その単純さはバカばかしいのだが、とにかくはっちゃけた舞台だった。
休憩15分含む2時間50分。