『カガクするココロ』『北限の猿』 公演情報 青年団「『カガクするココロ』『北限の猿』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    カガクするココロ-会話の妙
    明けましておめでとうございます。
    新年初の観劇となりました。
    3ヶ日、住宅地の小さな商店街を歩いておりますと途中までは人っ子一人歩いていません。
    住民さえも歩いていないし、こまばアゴラに来る人以外、ここは通らないだろうと思って劇場の前に来ると、案の定、そこだけ人がいる。
    自分はどんだけオタクなんだって気分になりました(笑)。
    今回の2つのお芝居は10年のタイムラグを設定し、それでも変わらない人間の営みを描いたとか。
    正月2日は歌舞伎座より空いている国立劇場へ行って獅子舞のあとに歌舞伎を観るのが長い間の習慣でした。それがいまは「青年団」でスタートです。
    10年もたつと生活習慣は変わるもんだなーというのが実感です(笑)。
    平田オリザさんは、いまや「現代口語演劇」の神様みたいになっていますが、それは平成でのこと。江戸時代は歌舞伎の世話物が「現代口語演劇」だったし、近代になり、築地小劇場が開場したときは、きっと大衆は歌舞伎以外の「現代口語演劇」に驚愕したんでしょうね。
    なんてことをぼんやり考えながら開演を待っていました。
    青年団の開演前から俳優が会話してたりするこのスタイルにもう慣れきっている自分に苦笑したりして。
    いまや「青年団」の芝居は古典芸能と化してる感じさえ抱きます。

    ネタバレBOX

    いろんな人の出入りと会話が絶妙なのが平田さんのお芝居の面白さだと
    思います。シリアスなシチュエーション・コメディーみたいな感じ。その塩梅がとても好きです。人物の特徴がわざとらしくなく描かれてるのがいい。
    小島(河村竜也)が妹の同級生を妊娠させたことがわかった直後の周囲の気まずい雰囲気に笑いを入れるとか巧いなーと思いました。
    自分は単純なので、馬鹿話的エピソードばかり可笑しくて笑ってしまいました。やたらテンションの高い高木(二反田幸平)が美川憲一の柳ヶ瀬ブルースを歌ってもみんなが反応しないところや、長良川の鵜を巨大化し、カツオやマグロを獲らせるという仮想話も結構笑えた。ロックンローラー(安倍健太郎)が曲に合わせて長髪を振るところとか。獅子舞や「鏡獅子」みたいで(お正月らしくてよかった?笑)。
    研究者といえば、安岡(兵藤公美)そっくりな研究者の女性を知っており、こんな感じで、でもちゃんと恋人がいるところも似ていました。その人が出版社でゲラ・チェック中のところを訪ねた際、「一番まずいごはんご馳走します」と言って、出版社の食堂に連れて行かれ、編集者たちと小麦粉で固めたようなテリーヌの話をしていたことがあったので、ここまで符合すると気味が悪くなってきました(笑)。
    「青年団」は起承転結があまりはっきりしていないのも特徴で、とんでもない事件が起きて一堂てんやわんやの末、無事一件落着なんてことにはならず、ほわーっと突然終わる。それで納得できる人がファンになってるんだと思うけど、今回は個人的な好みとしては2作品とも最後のほわーっと感がいまいち物足りなかった。物語には合ってるのでよいと思いますが。

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    2010/01/04 13:23

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