実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/19 (水) 13:30
座席1階
アメリカの作家オルコットの小説。映画やアニメにもなった著名な作品を今、文化座が演ずる意味は何だろう。そんなことを考えながら4姉妹の物語を堪能した。亡くなった文学座の高瀬久男の脚本だ。
次女のジョーを語り口にして物語は進行する。4人とも性格が全く異なり、個性豊かでおもしろい。特にジョーは、良妻賢母が理想とされる当時の感覚では珍しいと言えよう。自由を愛し束縛を嫌い、自分の夢や目標のためなら恋愛や結婚も脇に寄せるという女性だ。
4人の結婚観の違いも見どころかもしれない。幸せな結婚とは何か、客席が受け取るメッセージはきっと、人によってだいぶ違うだろう。そういう多彩な見方ができるのは若草物語ならではといったところだろうか。
なぜ今、文化座が若草物語? という問いへの答えは見つからなかった。パンフレットで佐々木愛が書いている。「父(佐佐木隆)の言葉の数々とともに、私がふと出会いたくなった」。小説でもこの舞台でも、従軍牧師である父親の存在は少ない。でも、愛さんが舞台の父親に佐佐木隆を重ねてみているとしたら、それはそれで興味深いことだと思う。