クランク・イン! 公演情報 森崎事務所M&Oplays「クランク・イン!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    秋山菜津子が素晴らしい。落ち目の元大女優の苛立ち、わがまま、いやらしさをこれでもかというほど見せつけてくれた。いじめられる太った付き人の富山えり子も身も世もなく泣くリアクションや、ちょいと見せる人の良さなどで、秋山の横暴ぶりをよく受け止めていた。好演。

    岩松了の戯曲にはあたりはずれがある。最近では「二度目の夏」は傑作だった。今回は残念ながら失敗作。大事なところを書かずに、スルーしている。「難解」「奥が深い」などと言ってごまかせる範囲ではない。『悲劇喜劇』11月号戯曲掲載

    ネタバレBOX

    往年の大女優と、若い無名の女優志望者の対比を見ながら、往年の映画「イヴの総て」を連想したが、岩松氏本人も意識していたらしい。さもありなん。
    吉高由里子演じる大部屋女優ジュンが「山根たず子のファンなんです」と現れて、その大女優の付き人に。ついには映画の主演女優に…というシンデレラストーリーなのだが、なぜジュンがスターへの階段を駆け上がっていくのか、説得力がない。野心もおべっかも枕営業もなしで、ただ若くてかわいいだけなのに。かといって、そのかわいさがその場の空気を支配するほどのオーラを発しているわけでもない。
    宮城真里(石橋穂乃香)がいなくなることで、ジュンがその代役になり、飛躍のチャンスをつかむ。大事なところなのに、なぜ宮城が失踪するのか、事情を一切カットしている。知らない間に寝ていて見逃したかと思い『悲劇喜劇』11月号掲載の戯曲をチェックしたが、やはり何もなかった。
    当初の主役の若い女優が湖で死んだのは事故か他殺かという冒頭からの謎も、引っ張るだけ引っ張って、結局思わせぶりで終わった。「いつ知ったんだ? たず子が殺したと」というセリフもあったが、次の場面では元と同じあいまいな状態に戻ってしまう。あれはたぶん、シナリオの読み合わせ、演技力のテストだったのだろう。

    0

    2022/10/18 00:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大