点と線 公演情報 カンパニーデラシネラ「点と線」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    マイム+台詞≠演劇
    通常は声を出さないマイム作品で、どうやって松本清張の小説を舞台化するのかと思ったら、今回はなんと、台詞をしゃべった。プログラムにはテキスト協力:小里清とクレジットされている。しかし台詞があるからといって、普通の演劇作品ではない。やはりマイムの要素が濃厚に入っている。

    事件を調べる主人公の刑事を森川弘和が単独で演じるほかは、残りの五人(佐藤亮介、鈴木美奈子、関寛之、藤田桃子、小野寺修二)が複数の登場人物(プログラムに記されているのを数えると全部で26役)を演じている。

    ストーリーはほぼ原作通りだが、あらかじめ内容を知っていたほうが楽しみやすいだろう。小説の内容をまったく知らずに見た場合、はたして時刻表のトリックを充分に理解できたかどうか、あまり自信がない。

    マイムのパフォーマンス自体はこれまで小野寺がやってきたものとそれほど変わらないと思うが、今回は台詞が加わって演劇に近づいているぶん、逆に演劇との違いがよくわかった。

    冒頭の場面では男女の死体が客席に足の裏を見せるかたちで横たわっていて、それを二人の男が見下ろしている。どうやら青酸カリをあおっての心中らしい、と男の一人がいう。この第一声でオヤッと思い、今回は台詞がつくのだなと頭の準備態勢を切り替えた。ここまでは普通の演劇の流れだが、次に男女の死体がむっくりと起き上がってはまた横になるという動作が始まると、ここからはシュールな雰囲気を持つ従来のマイム作品の色合いになる。二人組の男のほうも、死体の動きに反応したり、あるいはそれをまったく無視して台詞をしゃべり続けたりする。
    そのあともこんな調子で台詞劇とマイムの要素が入り乱れながら話が展開する。マイムでは動きがスローモーションになったり、反復したりするし、台詞のほうでも反復や大幅な省略がある。
    一人が普通の芝居をしているのに、相手のほうだけがマイム的な動きをする場面を見ていると、なんだか舞台上の時空間が歪んでいるというか、物語の流れそのものが速度変化を起こしているような印象を受ける。
    詳しいことは知らないのであれだけど、クラブのDJがレコード盤の回転を手で操作して不思議な効果を出すという音楽がある。あれを聴覚的なデフォルメだと考えれば、こちらの舞台作品では同様の効果を視覚面で作り出しているように思えるのだ。

    具体的な内容を言葉でうまく伝えられないのが残念だが、マイムと台詞が融合することで、なんだかものすごくユニークな、従来の演劇では見たことのないものが生まれた気がする。

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    2009/12/21 23:29

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