精神病院つばき荘 公演情報 トレンブルシアター「精神病院つばき荘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    医師が前職と言うのは作家にはよくあるが、演劇人では非常に珍しい。創作現場に時間がかかるから、片手間で少しづつ拡大していくという手が使えない。関西から出てきたくるみざわしんは中年になってから、まず投稿戯曲で注目された。今春初めて見た作品(阿佐ヶ谷ザムザ・「ひとつオノレのツルハシで」)は新人らしからぬ戯曲だと思ったが、それはこちらが知らないだけで、関西では多くの作品が既に上演されていた。
    今回の作品は医師として専門領域である精神科病院の現状についての物語で、専門領域だけあって、知らないことが山盛りで、それだけでも興味深く見ることができた。前回と同じ告発劇で俳優も同じ。戯曲のスタイルも似ていて、セリフで押していく。
    今回は一部の政・官と民間の阿吽の呼吸で戦後乱立した精神病院の現状が告発されている。
    登場人物はそういう病院の雇われ院長(土屋良太)と、長期入院の患者(川口薫)、30年以上勤めている女性看護師(近藤結宥花)の三人。長期入院患者で成立している病院なので、長い習慣的ルールで病院が維持されている。形としては民主的、合理的な入院患者と病院側の定期的な会合もあって、そこでの合意で病院の日々が回っている。院長は取りまとめ役だ。長い慣習の中には古くなるものもあるし、新しい時代のハラスメント規制や事態の変化にも対応しなければならない。この舞台で描かれる問題点は、原発事故が起きた時に備えて、どう対応するかを平時から決めておくことの可否(是非ではなく、出来るかどうかで、なんとしても、病院側は出来ることにしたいが、現実にはまったく無理である。こういう事態はいま疲弊化している日本の現実として随所に見られる)である。病院長が巧みにうやむやにする経緯が喜劇調に描かれる。
    だが、後半、原発事故は現実のものになる。日本のほとんどが住めなくなる。そこでも、院長は生きている。
    1時間45分ほど、セリフ続きで、主役の医師を演じる土屋良太は大車輪で、熱演である。ほかの二人もそつがない。ただ、前回は演出が芝居を面白くする経験も豊富なベテランの鈴木裕美だったので、同じような狭い舞台ながら動きも俳優の性格付けも派手で、飽きない作りだったが、今回はセリフを立ててほとんど板付きである。(演出・大内史子)。それだけに人間的な共感よりも告発の趣旨が中心になってしまったのは、セリフも内容も面白かっただけに勿体ないような気もする。初日はいろんな客層で満席

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    2022/10/14 00:08

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