ソハ、福ノ倚ルトコロ 公演情報 演劇集団円「ソハ、福ノ倚ルトコロ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

     『滝沢家の内乱』や『神遊(こころがよい)―馬琴と崋山―』などに続く、
    『南総里見八犬伝』をめぐる、不屈の人、曲亭馬琴(滝沢興邦)と
    その周りの人々を描いた評伝時代劇の力作(小説では、山田風太郎の
    『八犬伝』等あり)。

     世の中の情勢がどうであろうと、作品を世に出すということが
    どれほど手間暇のかかることか、当時の読本の制作過程と
    不要不急のものといわれる昨今の演劇作品の制作過程とが
    自然と重なってみえてくる。
     作品というのは、一人の力だけで世に出せるものではなく、
    幾人もの人たちの手による協働作業の賜物である。

     劇本体に、『八犬伝』の原文での劇中劇(読本の強靭な2.5次元舞台)を
    織り交ぜながら話が展開してゆく(このあたりの構成は、山田風太郎の
    『八犬伝』のそれに近い)が、そのタイミングと構成バランスは絶妙で、
    グリフラの『かっぽれ!』シリーズ作品でみせたあの鮮やかな転換を
    彷彿とさせる。『八犬伝』を完結させてもなお尽きることのない創作
    意欲溢れる戯作者魂、気概をみせる馬琴のラストシーンも前向きで心憎い。

     ちなみに、題名は、『八犬伝』第四輯巻之一第三十一回の
    「いにしへの人いはずや、禍福は糾縄の如し、人間万事往くとして、…」
    からきているとおもわれるが、おおもとは、
    「禍は福の倚る所、福は禍の伏す所なり」。

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    2022/10/12 17:29

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