実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、朗読劇だが 力作といった印象である。
また楽しみに出来る劇団と出会えて嬉しく思う。
幕末の動乱期、人斬り以蔵と恐れられた「岡田以蔵」の半生を力強く語る。それは単に台本を読むだけではなく、音楽・音響、照明といった舞台技術との相乗効果も見事に発揮。なにより役者陣の熱演が物語に緩急をつけ、巧みに その世界観に引き込む。朗読劇ゆえ、殺陣等の動きこそ観られないが、表情の豊かさ、土佐弁での喋り、そして全員和装(紅一点の万姫サンは日本髪)で、外見にも気を配る。勿論、舞台美術も意味ある配置で、武家社会を端的に表している。
以蔵は、足軽という身分(1人だけ裸足)ゆえ、学がなく泥臭く地べたを這いずり回るかのような描き方であるが、不思議とその世界観は格調高い。彼の心情を激白させるが、そこには疑うことを知らない純心さ。それ故の悲哀が浮かび上がる。
(上演時間1時間30分)