実演鑑賞
満足度★★★★
常々思うのだが、物事には適正水準というものがある。それは身の丈の封建を肯定するわけではないが、高校演劇におけるホール公演が仰々しく感じさせるのも事実だろう。ひっきょう、これくらいの「ハコ」はリアルの青春を紡ぐには実に相応しかった。
3年ぶりの外部向けという王子総合高校演劇部。北区は故つかこうへい氏のホームだったから演劇が盛んである。
何ともコンパクトな、常識的な舞台だった。学年に誰もが羨む美少女がおり、その生徒に一目惚れする男子生徒というシナリオはいいとして、恋愛劇ではない。ありふれたローテーションに潜む同世代的共感でも呼ぼうか。私にとってそれは「気遣い」だった。つまり、「好き」を声高に訴えるのもそうだし、その一言を控えるのもまた、そうに違いない。