住所まちがい 公演情報 世田谷パブリックシアター「住所まちがい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「暁精密機械製造工業(?)」が気になった。
    客席通路を駆け回る仲村トオル氏は脚が長く細くてカッコイイ。でも舞台向きじゃないような。田中哲司氏のキャラ作りは矢鱈凄かった。渡辺いっけい氏の脇汗が凄まじい。服が見る見るうちに染みていく程の凄い熱演。

    ネタバレBOX

    別々の住所に着いた筈が皆ビルの7階の同じ部屋(第七天国?)に辿り着く。しかもエレベーターもない。間違えたと思い、引き返して住所を確認しても矢張りここで間違いない。社長(仲村トオル氏)、公安〈警部?〉(渡辺いっけい氏)、教授(田中哲司氏)の3人。不思議なことに自分の入ってきたドア以外開かない。他のルートでは帰れない。冷蔵庫を開ければ自分の望んだものが何でも出てくる。一度出て行った教授は土砂降りの雨に打たれて戻って来る。そこに大気汚染(?)の警報が鳴り、街は戒厳令が敷かれて電気の使用すら制限されることに。

    イタリア戯曲を日本に無理矢理置き換え、これが上手くいっていない。原作の大尉を警察から出向して秘密裏の職務に就いている公安に改変。社長が密会する女と面識がないのも不可解。出会い系か?警報で外出禁止令の世情も腑に落ちない。
    死生観がテーマなのだが日本人の感覚に合致していないのでまるで絵空事。無理に盛り塩を入れたりもおかしい。

    自分的にはかなりつまらなかった。前の方だったが前半結構寝ている人がいた。朝海ひかるさんの登場から皆集中して観る感じ。待ちかねた朝海ひかるさんは志村けんのコントの研ナオコまんまの掃除婦、床からセリで登場。観客愕然。このおばちゃんの正体は一体何なのか、聖母マリアなのか、皆ハラハラ見守る。何気ない一言一言にもこじつけのような深い考察を入れて。
    死の前の休憩所みたいな設定で、解釈は色々可能。ラストの朝海ひかるさんの神々しい美しさに救われた。

    3人は渡辺「仲村」、仲村「田中」、田中「渡辺」と名乗る。電話帳(死者リスト?)にも名前は載っているがラストで皆本人の名に戻っている。偽名を使っていたというギャグだったのかもよく判らない。最後の審判を免れて、それぞれの扉で帰って行くも外の扉の鍵が閉まっていて戻って来る。一度助かったと安堵してからの絶望。

    中盤、田中哲司氏が渡辺いっけい氏のドアを開けてみることに成功する。この部屋のルールは心の思い込み次第という解釈をしたのだが、それも判然としない。

    多分スッキリとした解答などなく、モヤモヤした感覚で手探りで生きるのが人生ということなのだろう。劇中の3人の会話もずっとモヤモヤしているだけ。何もハッキリしたものはない不条理な世界。

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    2022/10/03 13:10

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