滝野流殺人だ!! 公演情報 劇団さかあがり「滝野流殺人だ!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    うーん、とても悩みました
    正直、今回ほどレビューを書くにあたって悩んだことはない。
    この劇団のHPを見ると、「日野周辺で休日を利用して活動
    している」社会人劇団のようで「仲間を募集中。未経験者歓迎」
    とあるので、趣味の演劇サークルと考えたほうがよいのだろうか。
    というのも、日頃観劇しているコリッチに団体登録している劇団とは
    あまりにもレベルが違いすぎるのである。
    演劇サークルであれば、どの程度書いてよいのか悩んでしまう。
    でも、いちおう、コリッチに団体登録し、チケプレも実施している劇団なの
    で、ほかの劇団に対するのと同じような尺度で書かせていただくので
    関係者のかたにはご了承いただきたいと思います。
    「滝野流殺人」ってどんなやりかたで殺すのかと思ったら、「たきのながれ」と
    読むそうです。
    会場の地図説明で、「畳屋さんの向かいのブティックエルの横の道を入る」とありますが、畳屋の向かいは新装開店準備中の中華料理店で、ブティックを改装中なのかと思ってその横の道を入ってしまいました。ブティックエルはもう少し先にありますので念のため。

    ネタバレBOX

    ひとことで言うと、現実社会を描くコメディーなのに脚本にリアリティーが
    なさすぎる。
    まず「夢の森新聞社」という名前に違和感があります。出版社や
    ミニコミ誌の名前ならいざ知らず。どんな規模の新聞社なのかわかりません
    が「北東支局に行かされる」というセリフがあるので、少なくともタウン誌ではないのでしょう。赤字部門で存続の危機にさらされている芸能部が
    舞台。部と言っても、編集長、女性カメラマン、男性記者の3人だけ。
    この編集長が、社長が部屋に来ても席で熟睡しているような男で、バカなことを言って常にヘラヘラ薄ら笑いを浮かべている。こんなバカが一般紙の編集長だったら新聞なんか出ない。昼行灯みたいな描き方にしたかったのかもしれないが、度を超している。しかも俳優の演技が素人なのか、セリフと動きがバラバラで、唾を溜めて物を言う癖があり、滑舌が悪い。カメラマンは正義感が強いという設定らしいが、ただの血の気の多い暴力女にしか見えない。これは俳優の責任ではなく、脚本のせいだ。
    編集記者ケビンはハーフという設定。日本語にこだわりがあり、すぐに悩むという性格らしいがハーフである必然性を感じない。井上ひさしの戯曲のように日本語問題を諷刺する機智も感じられず、日本で育って帰国子女でもない設定なのに、言葉のコンプレックスって、いつの時代のハーフ認識か。
    おまけに英単語の発音が悪くて、何を言ってるのかわからない(笑)。舌が回らず、演技も下手。
    特ダネをでっち上げようと編集部員がもくろむのだが、その手段が噴飯物。
    「滝野流」という落ち目の演歌歌手の新曲インタビューの見出しを「滝野流殺人だ!!」にするというのだ。
    こんなばかげたアイディアを女性カメラマンが出し、しかもそれが編集長の裏技だと言う。編集記者はそんな見出しで記事は書けないと言い、「東京にUFOが来た」という記事を書くと反論(ありえない)。
    そこへ就職の面接にやってきた女子大生に、試験と偽って記者の取材手帳を見せてインタビュー記事を作成させようとすると、女子大生は妄想好きで「UFOの記事を書いてみたい」と言う。
    東京タワーやUFOの模型などの小道具を都合よく編集長らが取り出す場面にも呆れた。
    新聞社にやってきた滝野流が女子大生相手に「歌の魂」について語りながら、陳腐な歌詞の持ち歌を歌う。この演歌歌手の俳優が力士の故・初代貴ノ花(先代ニ子山親方)に顔が似ており、大物ぶりを表すのか、やたら目を閉じて唸るばかり。さらにまるで親衛隊のような滝野の女性マネージャーがやってきて、やたら「私が死ぬ、死ぬ」とカッターやボールペンを手にみんなを脅かすが、同じギャグの繰り返しで笑えない。だが、この守本彩子という女優だけが唯一演技が女優らしくマシだった。
    社長にデッチ上げ記事のたくらみがばれて叱られ絶体絶命に、と思ったら女子大生が出したアイディアが新しいものではなく、結局最初の計画どおり、UFOに乗ってやってきた「滝野流型宇宙人」を滝野自身が演じ、歌の力で平和を守るというばかげた記事の写真をくだんの小道具模型で特撮撮影する。「明日の新聞は売り上げ1位(駅売りの?)まちがいなし」、メデタシ、メデタシって、そんなわけないだろ(笑)。ジャーナリストを舐めるのもたいがいにしてほしい。これが漫才やコントのネタならまだしも、コメディーなら何でもありと考えてほしくない。女性カメラマンが男性記者にしおらしくキスしてロマンスが成就という取って付けたようなラストシーン。何ひとつ納得できなかった。
    照明の変化も意味不明な場面がいくつかあったことも付け加えたい。
    カメラマンが何か写真を見せて、男性記者を脅す場面も、何の写真なのか説明がないのでわからない。
    編集長に「お見合い写真持ってますか」とカメラマンが聞くところもあるが、これも何の意味なのか。
    観客のことを考えて作っている作品とは思えない。
    今後もコメディーを作り、有料で公演するなら、コメディーに定評のある他劇団の芝居を観て、もっと勉強したほうがよいと思います。評価に苦しむのですが、お稽古をしたことに敬意を払って☆1つとさせていただきます。
    パンレットですが、滝野流(たきのながれ)や町野灯(まちのあかり)だけに
    ルビをふればいいのに、カナの役名にまでまったく同じルビをふる必要はない。「社長」や「後藤」も読める役名だと思うがルビがふってあった。
    チケプレで他のかたの当選メールがまちがえて送られて来て、訂正メールが来たきりだったので3人しか登録がないのに割り当て枚数からおかしいと思い、「落選ですか」と問いあわせたら、「当選でした」とのこと。何か、スタッフワークも慣れていない感じでした。



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    2009/12/05 22:12

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