瞬間キングダム 公演情報 あなピグモ捕獲団「瞬間キングダム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    王様ゲームの果て、何を訴えたいのかがよくわからない
    「詩的で哲学的、不条理で理不尽な物語世界」という説明に惹かれて観に行きました。確かにそういう芝居なんですが、観終わって強く心に残るものがなかったというか、結局、何を訴えたいのかよくわからなかったです。
    電動夏子安置システムの「performen」シリーズに似ているところもあるけれど、あそこはロジックの仕掛けがはっきりして、その枠組みの中で観客が遊べるのだけれど、こちらはストーリーが散漫な感じで、いまひとつ、その仕掛けが観客を捕らえ切れていない。今後、ファン層を広げるには、もう少し説得力が必要だと思った。
    原泰久がフライヤーのイラストを担当しているが彼の連載漫画「キングダム」とは、無関係の内容でした。

    ネタバレBOX

    合コンの王様ゲームに興じていた男女。挙動不審な店員のあとを男の子たちが追っていくが見失い、散らばったコインをみつける。コインは砕け散った流星のかけらだという。やがて彼らは王国の戦いに巻き込まれていく。
    30回目の公演にちなんで、30のシーンが用意されていたが、1つ1つのシーンは流星のかけらともいえる。シーンは時系列に並んでいないので、断片的なピースのような場面がちりばめられ、だからといって観客がその断片をつないで芝居を楽しんでいくまでには発展しない。
    詩的哲学的要素ももちろんあるが、不条理劇のアクセサリーのような感じ。
    イエス・キリストと12人の使徒たちの話をモチーフにしているようだが、
    単なる不条理劇ではなく、ロジックの部分もあるので、そこをきっちりと描かないと、観客は付いていけないと思う。聖書の知識に疎い人もいると思うので、そのへんの解説をパンフレットに載せてほしかった(九州男児ですから、を連発する主宰の長い挨拶文より大事ですよ)。
    合コンにいた女性たちが精霊のような使徒のような存在も両方演じるのだが、化けているのかどうか関係性がよくわからない。王女と召使の会話が突然始まるが、王女と王様の関係もよくわからないし、キリストを王になぞらえるのでよけいわかりにくくなっている。久米靖馬演じる東崎詩黙は、合コンの男たちとは別の側の人物らしいが、位置づけがよくわからず、迫り来る「世界の壁」と闘っている。
    こんな具合で、間に詩的な朗読調のセリフが出てくるので、何だかわけのわからない「お芝居ごっこ」を見せられているような感覚に陥り、シラケてしまった。
    出演者の中で名前を知っている俳優は久米だけだったが、ホームのクロカミショウネン18とはまったく違う少女マンガから抜け出したようないでたちで
    いったいどこへ行っちゃうのと心配したくなった(笑)。
    衣装のカーキ色のフード付きコートは、めいめいアクセントカラーのパッチワークを入れるなど、なかなかカッコ良かったです。
    アンケートに「30回も公演を続けてきたことに何か労いの言葉をかけてください」と書いてあったのには吹いた。
    「何かメッセージを」と言うならわかるが、「労いの言葉をかけてください」と
    向こうから要求されたのは、生まれて初めてですよ。こういうところが、何か
    小劇団の仲間内感覚を感じてしまう。「30回も続けてきたこと」にはもちろん敬意を払うけれど、きょう初見で、これまでの歩みも知らないのに、いきなり
    「労ってください」と言われてもなー、という感じです。
    アンケートに添えられた別紙、主宰の「DEARESTみなさま」も、だらだらと独りよがりの甘えた文章がつづられ、失笑。
    自分の考えを自分にしかわからない表現で書いてもダメ。もっと相手の立場に立って書かないと。芝居も同じじゃない?と思いますけど(笑)。
    この公演、お試し感覚の2人で1人分の割引価格の「ペアチケット」で観たのですが、「わかりにくい芝居」を共有するには納得できる価格かなと思いました。2人5000円ではちと高いかなと。

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    2009/11/30 07:03

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