実演鑑賞
満足度★★★★
キャラメルボックスっぽい、とかキャラメルボックス風、的、系といった形容はきっとあったと思う、というのも、こういうテンションでノリで演じてる若者の芝居を以前、中々の率で観たし若者に好まれるのも判る。
昔TVで見た(そんな時代もあった)同劇団の「サンタさんが何とか」とか言う芝居が、開演と同時にすぐさま甦った。舞台手前両脇で2人が電話している図、話が噛み合わない内に切れて片方が困り顔、だったり、発語のテンションだったり、総勢で見せる歌、そして踊りのタイプも「効率的に客を乗せる)。テンポを作る音楽(場の間ずっと鳴る)、無音、メロウな音楽の切り替えなど。(観客は終始音楽に気分を誘導されている。)
もっとも本作は数年前に書かれた作品。作者がパンフにネタ元や、自身の過去作からの借用設定等をあっけらかんと紹介していて、バックステージ物である本作で上演される芝居が、先の「サンタさん・・」である事も(確かに台詞練習の場面ではスクリーンのこちら側とあちら側がどうだと言った台詞を吐いていた。かつての公演のパンフにも劇作家はネタ元をウディアレンの某映画だとか、あっけらかんと書いたに違いない)。
転換のインターバルが短いのは数個のエピソードが並行している事によるが、それぞれの接点もある。2、3クール回ると表面上の対立や不具合の背景が少しずつ顕われて来る。最初はランダムな線たちだけであったのが、面の中の空隙となり、やがてはっきりとした穴となり、着実に埋められて行く。
で、思ったのは「キャラメルボックス」的舞台は数あれど本家の完成度には敵わない、という事である。
なお役者を陥落から掬っているのは台詞、台詞がそこへ至る不安定さを解消して役者を輝かせる。