実演鑑賞
満足度★★★★★
お薦め。
7年ぶりに「愛する者を守るために散っていった若者達の純粋な心を描くと同時に、恒久の世界平和を祈念したい」思いで上演した力作。今観るべき作品であり、考える内容である。物語は戦争の凄惨さを眼前で現すのではなく、あくまで特攻隊員たちの心情を丁寧に掬(救)い上げるように描いている。心中を思えば、悲惨な光景を描くよりも厳しく残酷である。
冒頭、舞台幕に里の山々、野原、自然豊かで長閑な風景が映し出され、姿なき祖母と孫の会話が流れる。その中に、これから始まる物語で核となる言葉が…。戦争は悪いこと、だから日本は悪いと学校の先生は言う。本当にそうなのか、その時代を懸命に生きた人々の思い、そして触れ合った事実が脳裏から離れない。そこには国を愛し家族を愛した純真な若者達がいた。何のために、そして誰のために自分の命を犠牲にしなければならなかったのか? を切々と綴った公演。場内のあちこちから聞こえる嗚咽が、公演の素晴らしさを如実に物語る。
(上演時間2時間40分 途中休憩15分含む)追記予定