自分の顔が愛せない 公演情報 劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢「自分の顔が愛せない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    典型的なダークファンタジーで、表層的には面白い。またザムザ阿佐谷という劇場にピッタリと思える妖しげで怪しげな雰囲気を漂わせた舞台美術も見事だ。ただ物語の世界観がどこにあるのか暈けてしまったように思える。ラストにそれらしき台詞もあったが、さらにその先を描くことで世界観の芯がブレたのが勿体ない。ダークな光景ではあるが、登場人物がどことなくコミカルでピリピリとした闇世界(裏社会)で暗躍する人とは思えない。そのアンバランスは敢えての演出なのか。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に門構えのような入り口、暖簾・丸提灯・上部にしめ縄風に布団が掛けられている。その傍にミシンや椅子が雑多に置かれ、下手奥は少し高くし別部屋(招き猫・パソコン等)、下手客席側にベットがある。全体的に雑然としており提灯が妖しく灯る。ここは「顔変え屋(兼 肉屋)」で、自分の望んだ顔へ変えてくれるが、その人の「愛」が代価になる。

    物語は2部構成で、字幕が衝立壁に映し出される。第1部「顔変え屋」第2部「カヨコの逆襲」である。
    冒頭 そのカヨコ(加藤恵実サン)という女子大生が「顔変え屋」を訪ねてくるところから始まる。彼女を出迎えたのがオババ(ちこ ゆりえサン)と呼ばれる この店の女店主である。中流家庭(表社会)の孤独な心のカヨコ、裏(闇)世界で暗躍するオババ、虚構の世界で繰り広げられる混沌とした物語。説明にある 東京都山手線圏内のその地下に、裏街が広がっている。顔変えと、副業で肉屋もやってる店というシチェーションがこの二人によって要領よく説明される。

    自分の顔を少しでも美しく見せたい女心、一方 自分の存在自体が怪しい女、そんな女の下心と思惑が外見(見かけ)によって判断する社会(世間)を皮肉るような。同時に美しくなった顔は絶対性を持つと言わんばかりに、皆 同じ顔になり夜の街で接客するようになる。カヨコはオババに殺されそうになるが、九死に一生を得てオババの追い落としを画策する。それが自分の顔を街に溢れさせること。ちなみに或る国のミスコンで一時同じ顔の整形美人で溢れたとネットで話題になったことを思い出したが.…。整形 一概に語ることは出来ないが、物語では自分の存在を逆襲の手段(顔変え)として利用する。

    カヨコの家に転がり込んでいる恋人・塚野(高瀬キリン サン)が、入院している大学の友人でカヨコを好いている相里(中村亘サン)を見舞った時に、聖書のような分厚い物語をよく読んだな と。物語は塚野の作り話…劇中劇のような世界観を思わせたが、今度は相里が自分がカヨコを救い出したと反論する。物語を書き換え上書きしたかのよう。
    虚構ー変えたい者と変わりたい者、その世界を交換したら同じ環境下でも違って見えてくる光景、同じような顔にし 外見では区別はつかない。塚野は無神経な言動や態度のカヨコに顔替えを示唆。それによって何かが変わるかも…ラスト、それを実現したかのようなカヨコの一皮剥けた(闇の)姿。これによって虚構と現実の曖昧さが一層濃くなり世界観が分かり難くなった。そう物語の芯(描きたい内容)がブレたように思う。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/09/12 12:24

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