チャイニーズスープ【作:平田オリザ×演出:柴幸男】 公演情報 元祖演劇乃素いき座+龍昇企画「チャイニーズスープ【作:平田オリザ×演出:柴幸男】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    老後の風景
    舞台は廃墟のような海辺のレストラン。そこに20年前に旧東側のスパイだった男と旧西側のスパイだった男がスープを作りながらの会話劇。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    見た目も実年齢も歳を喰ってる土井の方が演技も迫力も上をいく。決して龍昇が負けてる。というのではなくて、加齢してこそ、この味わいが身につくものなんだと感じるし、土井には独特のトボケタキャラが味方するのだと思う。

    お互いのスパイは定年後の時間つぶしに日向ぼっこでもしているかのごとく、緩やかな話に花が咲く。その内容はアニメ・ゴルゴだったり、題名の思い出せない映画の話だったり、ダヴィンチ・コードだったり・・。かつては危機迫るスパイの仕事なんかしていなかったような風景。だけど、よく解らない会話は成り立ってしまうから、可笑しい。笑

    「この20年で大抵の不自由なものを手に入れた。」なんていいながら、二人は浜辺に置かれた野菜で形作られた世界地図から人参やらじゃがいも、玉葱、葱、カブなどを細かく刻みスープの中に入れていく。スープに国境はない。だから彼らがベルリンの壁の崩壊の話をしている間にも、世界地図の日本に置かれた日本(人参)やら、ドイツやら、それぞれの国の野菜を刻んで入れていく。

    その間も彼らは年金の話になり、「共産主義はいいよなー。年金があって。資本主義だったから年金がないから、将来不安だよ・・。」なんつって年寄りじみた会話をしながら、滑稽にも将来を約束されてなかったスパイ達は将来を心配する。苦笑! 緩い喜劇ですね?そんな確認をしたくなる。笑

    そして、女の話やホモの話や、ゲイの話に及び、気が付くとそれらの話には男とか女とか性別を超えた、こちらも壁がない。そんな国境のない話をしながら、二人はスープの中に入れる野菜の刻み方が段々雑になって、そのうち、石油の話をしてるときに油のボトルを入れちゃったり、包丁を入れちゃったり、まな板も入れちゃったり、布巾も入れちゃう。

    つまり、スープは国境のない世界なのだ。

    旧西側のスパイだった男は「年金がないから、気が付いたら住宅ローンだけが残ってたよ。今じゃあ、月々の返済を支払うのに苦労してるよ。」なんて、こちらもローンに国境はない!笑

    土井の芝居は小刻みに観たいと考える。だってあと10年観られるかどうかも解らないでしょ?笑   それでも最後の最後まで頑張って芝居して欲しいと願う。そして、いつまでも人々の記憶に残る仕事って素晴らしいな。って、つくづく思う。



    0

    2009/11/14 16:12

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大