旅に出る。 公演情報 ソラカメ「旅に出る。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    優しさと厳しさ、甘さと辛さが絶妙な物語。
    夏休み、久しぶりの旅行は子どもの頃の転校先。観光名所があるわけでもなく、ただ海が近いだけの平凡な街。センチメンタルにもならず、その思い出は楽しいことばかりではない。ほろ苦い記憶がよみがえるが、それでも少し懐かしさを覚えてしまう。そんな ちょっぴり切ない過去と現在が交錯する物語。
    前説で 舞台美術はスタッフ・キャストによる手作り と説明していたが、その後景は素朴で心温まるような雰囲気を醸し出す。そぅ童心にかえるような…。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、ダンボールを切って黒板や道路標識、郵便ポストなど学校や転校先の街中を表出する。同時に現在進行している旅行風景にも重ねる。ドライブする様子は、キャスター付の台に箱馬を乗せ、車に見立てる。

    物語は女子4人による夏旅行。行先も決めていなかったが、主人公かすみ(内田めぐみサン)が9月12日生れであることから、誕生祝を兼ねて強引に彼女が保育園・小学校と2回転校していたプチ郷里へ行くことにした。しかし、かすみ はこの地での楽しい思い出は少なく、どちらかと言えば ほろ苦さが…。

    東京から転校してきた彼女に戸惑い、もしくは快く思わない級友たち。端的に表しているのが言葉(方言)の違い。無理に方言を使おうとする かすみ、それに反発する級友たち、一方 母親(涼子の二役:片桐美穂サン)は方言を嫌う。他愛のない言葉や状況に敏感になり、子供心にその場の空気を読んで心にもない態度や言葉を発してしまう。どこかにありそうな光景を情感豊かに描くのが上手いソラカメ。

    キャスト陣は、登場人物のキャラクターを立ち上げ、居そうな人々を体現している。片桐美穂サン、小笠原遊香サン、金江藍サンは現在の友人であり、過去では母や妹たち二役を演じているが、どことなく似たような性格付にしている。転校先で意地悪役・レイナ(阿部優花サン)は、棘のある言葉やシニカルさを上手く表現している。萌(西澤香夏サン)は空気を読む女の子、男子2人 昇(山谷ノ用心サン)は気弱でお調子者、憲二(高見綺一サン)は外見の強がりと気恥ずかしさの二面が伝わる。昇の姉・直(加古みなみサン)は、外見のスケバン風とは裏腹に心細やかな女性、圧ある存在感だが癒しの雰囲気も漂わす。

    コロナ禍で 旅行も以前のような活発さは まだ戻っていない。そんな中で、演劇を通して旅行、それも懐かしき場所へ…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/09/03 21:48

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