実演鑑賞
満足度★★★★
竹〇惠子、萩〇望都ら「花の24年組」と呼ばれた少女漫画家たちの青春群像と、三億円事件をからめた発想がまず面白い。コメディーの得意なテアトル・エコーらしい、笑いに満ちた元気のある芝居だった。
舞台いっぱいに二階建て木造アパートを再現したセットに、まわりは練馬名物キャベツというのがユーモラス。デビューめざして一緒に漫画家修行する女性たちの、それぞれの個性もかき分け、演じ分けている。とくになんでも花びらをしょわせる少女趣味全開の大〇弓×(渡邊くらら)が可愛げがあって面白い。さらに時代に取り越された元貸本漫画家の山本(重田千穂子)が、舞台を活気づける異分子=トリックスターとしてしょっちゅう騒動と笑いを起こす。
夢と不安でいっぱいの昭和の青春群像劇としてなによりおもしろい。大手編集部の気に入られるような漫画を描こうと四苦八苦するメンバーに、クールな新人編集者が「もっとハッとさせてほしいんですよね。3億円事件は日本中をハッとさせたじゃないですか」と「かたにはまらないで」と注文するのが、一番のメッセージになっている。
中島淳彦の戯曲。3年前に58歳で亡くなったが、80本以上の戯曲をのこしたらしい。年4,5本を書いていた。生前は彼のことを知らなかった。去年あたりから、急に中島の名前を見るようになり、今回その戯曲による舞台を初めて見た。人間関係のくみたて、人物の個性の描き方が巧みで、とにかくセリフがうまい。笑いもあり、熱もある。これからまだ公演があるので、できるだけ足を運びたいと思った。