満足度★★★★★
超傑作SFモダンホラー・ラブストーリー誕生!後藤ひろひと氏は真面目な東宝特撮映画マニアだった。
後藤氏の舞台はいずれも劇団piperでの「ひーはー」「恐竜と隣人のポルカ」
しか観ておらず、そして【お笑い芸人を配した】キャスティングに、
かなり心配でしたが、実際は…【素晴らしい出来でした!】感激です!
異形の者と孤独な歌手の悲恋・純愛物語として、最高の完成度です。
映画版のテーマをより「純化させている」ともいえます。
その意味では「ガス人間第一号」というそっけないタイトルに、物悲しい特別の意味を感じてしまう。
これだけある意味誰よりも人間的なのに、実験対象の名称が。
また、SFモダン・ホラーでも犯罪ものとしても楽しめる。
そのまま舞台となる劇場を、実際の客席ごと演技空間にしたのもうまい。
(唯一、唯一ラストはもっと盛り上げてほしかった気はしますが。)
映画当時のノスタルジーに頼らず、現代の日本の話である点もいい。
映画では能狂言だったのを、ポップスにしたのも正解。
時代に合わせるとこの方がよりしっくりときます。
そして問題の、ガス人間の特殊効果が巧み!
体からまさに噴出すガスの表現は、決してドライアイスや
普通のスモークではない、最高の効果。
そして、ガス人間からほかの人間に対して、腕から
「ガスのリング」(ぜんじろうの実験の空気砲に似てる)を発射、
それが当たった人間(役者)が、体から煙を出して苦しむという表現が見事!
俳優さんたちもよかった!
特に中村中さんの存在感が光ってます。
音楽も中村中さんが担当、都会波ミステリー+ホラーの雰囲気。
映画版の宮内國郎氏に似たフレーズも聴かせてくれました。
高橋一生さんは静かな愛情を表現、クライマックスでは「体形も崩れていくような」様子は、まさに異形の者の演技で見事でした。
また、重く暗くなりすぎない中山エミリさんの配役。
伊原剛志さんの、劇中の登場人物の物まねがとても可笑しい。
飄々としながらも的確に話を進めていくポジションとして、普通の部分をちゃんと進める枠組みは非常に重要です。
そして、三谷昇さん!いつもは怪演が多いのですが、今回は名演というのがふさわしいと思う。
水野久美さんは出番少な目でしたが、やっぱり只者ではない役で!
何より意外だったのは、南海キャンディーズの山チャンのコメディ演技が、とっても笑えて良かったことです。
違和感がなくなじんでました。後藤さんのキャスティングの妙でしょうか。
(ただし水野さんのほうは予想通りか…)
(悠木千帆さんは、樹木希林さんの名前を買った人から名前を譲ってもらったという…。)
後藤ひろひと氏は真面目な東宝特撮映画マニアだった!
先ほどのBGMだけでなく、本編にも【適度に】(これが最も難しい。センスが問われる!)
リスペクトがあり、東宝特撮映画を本当に愛しているのだなと。