あの人の世界 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「あの人の世界」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    想像を喚起させる作品
    松井周さんの作品は過去に観た事があるのですが、サンプルのことは
    まったく知らないで観ました。
    外国の作家のような作品だなと思いました。
    舞台美術がシュールレアリスムの絵画のようで、内容も強烈な印象を残しましたが、難解で私には苦手なジャンル。
    加えて表現方法の一部が生理的に受け入れがたかった。

    ネタバレBOX

    人と人、人と物、空間と物などさまざまなものの間に生まれる「磁場=物語」を見つめる意欲作、とフライヤーに書いてあった。
    三角形の舞台に「上」と「下」の世界があり、上下の世界をポールが貫いている。
    さらに一隅にはハンモックのような機能を持つ台があり、ゴムボートが載ったりする。「磁場」というのは観ていてなんとなくわかる。
    舞台の周囲を娘(「柿喰う客」の深谷由梨香とは意外なキャスティング)が自転車で周回するさまは磁力を表現しているようだった。
    一見、無縁そうな「上界」の夫婦と、下界の人々がいろんなかたちでつながっていく。さらには夫婦が下界に降りてきて、犬になって這い回るなど、混沌とした内容。人間関係が希薄でありながらみんなどこかでつながっていたいと心の底で思っている現代の都市のカオスを表現しているようでもある。
    上界の夫が放尿し、下界の人々がそれを「雨」だの「虹が見える」だの
    喜んだり、シャンプーを始めたりする演出は、ピーター・グリーナウェイの
    映像を思わせた。
    青年が娘のことを「僕の未来」と呼ぶ。それが彼にとって理想の伴侶だとしても、上界には既に関係が破綻した夫婦が住んでいるという皮肉。
    終演後、外に出ると、劇場の周辺がなんとなくさきほどの舞台面に似ているなーと思いました。芸術劇場にはいつも、殺伐とした劇場にふさわしからぬ
    雰囲気を感じていて、このあたりを歩くといつも都会の孤独を感じてしまう
    ので。昭和40年代はこのあたりはまだ劇場は建っていませんでしたし、手配師といわれる職業の男性や労務者がたくさんいて女性が一人では歩きにくいこわい雰囲気でした。今回の舞台に共通する不気味さがありました。でも、最近の若い女性に聞くと「池袋西口は親しみやすく明るい感じ。東口のほうがこわい」と言う。まったく逆の印象です。

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    2009/11/08 04:12

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