今日もいい天気 公演情報 渡辺源四郎商店「今日もいい天気」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    化身
    青森市郊外にある一軒の家では猫と4人の男が暮らしていた。主の富平(80)、その長男・和也(35)、富平の娘婿・万次郎(56)、万次郎の長男・亨(22)。
    一家の太陽であった万次郎の妻であり富平の娘であった幸江は7年前にこの世を去った。

    そんな男ばかりの所帯に・・・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    毎回、思うことだけれどここの劇団って抱えてるキャストたちの年齢の幅があるから、物語に見合った年齢のキャストを登場させることが出来る。だから違和感なく観られる。素晴らしいよね。東京の劇団は年齢の高い役者を探すのに四苦八苦してるというのに・・。

    そんな男ばかりの所帯は和也が主婦代わりをすることで、どうにか回っていた。しかし、幸江を失った喪失感は常に4人の中にあり、なんとなく覇気がない。

    そんなある日、笹原めぐみというモニター家政婦がやってくる。4人は幸江が生き返ったのかと勘違いするほどにめぐみが幸江そっくりだったことから、最初、戸惑い驚くが、やがてかつての家族の肖像を取り戻すごとく、富平も万次郎も亨も、家政婦の手伝いをがぜん張り切る。そうして一家は幸江が居たころのように明るさを取り戻していく。ここでのめぐみは幸江本人であり猫の化身としてこの家にやってきたのだった。和也だけがめぐみの存在を疑心暗鬼になりながらも冷静に眺める。

    そこへ僧侶が訪ねてきて化身を見破り、「しんだ人間は帰ってこない。そうやって人の心を乱してなんになる。」と意見するも「その体じゃ、長く持たないだろう。いよいよという時になったら寺に来なさい。私がちゃんと送ってあげる。」と進言する。

    めぐみはいよいよという最後の時に、「亨を大学に入れて、万次郎さんの弁当は毎朝、自分が作る。父さんの面倒もみる。といったのは貴方じゃないの!だったら最後までやりなさいよ。頑張ったね、御苦労さんだったね、なんて私はぜったい言わないからねっ。」と和也に喝を入れながら、遠まわしに労う。

    こうしてめぐみは消えてしまったが、残された家族は一時の夢をみて緩やかな日常に戻るのであった。

    舞台のセットを見た瞬間に心が和らぐ。白い壁にマジックでタンスやカレンダー、棚などが書いてある。劇中、富平の甥の登場で会場を笑わせる。大阪商人のような言葉と絶妙な早口とギャグ!笑
    そうして気弱な万次郎がめぐみに吐くセリフがいい。いつも笑ってた、笑いの絶えない家庭を作り上げてた幸江を想う心情の吐露がズンっ!と響く。

    今日のようないい天気の秋、空いっぱいに飛ぶトンボの群れの風景を想像させる。その群れはススキの上空を同じ方向に飛んでいる。そうして、やがて夕暮れに空が染まるころトンボはいつの間にか居なくなる。
    青森の方言はいつにもまして心地よかった。
    太陽のように明るい女性って、やっぱ、良いよね。(^0^)

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    2009/11/06 11:43

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