満足度★★★
改訂版での再演を熱望
交通事故により全退行性記憶喪失(だったっけ?)となった男と画廊でゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何か、我々はどこへ行くのか」のレプリカを200万円で買うことになる男の話を同時併行的に描くのは悪くないが、その2つの関連がなかなかわからないのがちょっともどかしく、まとまりに欠ける感無きにしも非ず。
とはいえ、かつては家庭もかえりみないビジネスあるいは利益至上主義だった男が、言葉さえ失った状態から知識をつけてゆくのにしたがって無垢な気持ち・考え方となり感ずる疑問を通して利益重視の現代社会に対して警鐘を鳴らし批判する狙いやよし。ちょっとディッケンズの「クリスマス・キャロル」を連想したりもして。
そこに文明社会からタヒチへと活動拠点を移したゴーギャンの生き方も重ね合わせているのが巧い。
さらに、癌で亡くなる患者や記憶喪失の男の妻の出産など「生命賛歌」的なモノも加味されて、このテに弱いんだよなぁ…。
また、門奈理沙・美玲・五宝(漢字表記は推定)など、絵画や画家の名を人物名に使っているのにニヤリ。(ちなみに記憶喪失の男と妻の名は「純」と「愛」)
ただ、前述のまとまりに欠ける感に加えて病院内(病室を含む)で携帯を使うナースがちょっと引っかかったので、いつか改訂版での再演を熱望!