実演鑑賞
満足度★★★
素晴らしい音楽と困惑するストーリー。
あらすじは「蝶々夫人」とほぼ同じで、背景をベトナム戦争にしただけである。「蝶々夫人」は相当な問題作でそれを下敷きにして新たな物語を作るというのがそもそも間違いだ。もっともクリスは戦争の混乱が原因でキムと離れざるを得なかったと理由が付いているし、蝶々さんが自死する理由がやや弱い点はトゥイを殺した罪の意識も加えて納得できるものになっている。そこはさすがに見過ごせなかったのだろう。しかしその代わりに作者のベトナム戦争感が明らかになり、トゥイのあまりに酷で雑な扱いはアジア人感をも想像させるという副作用をもたらした。
世界4大ミュージカル(*)の未観の最後のものだったが、欧米の作品を盲目的に有難がるのはもう止めようと今更ながら反省した。(*)他の3つは『レ・ミゼラブル』、『オペラ座の怪人』と『キャッツ』