実演鑑賞
満足度★★★★★
たかお鷹と千葉哲也がよかった。これは、生き残った海軍大将の回想の中の幻、という見方を見て、なるほどと思った。千葉はこの演劇を愛する人々の中では異端児なのだが、この異端児がいてこそ、この世界がリアリティーを持つ。鵜山仁は千葉に「一人で他の全てと対等に張り合うくらいに」と、そに存在の重要性を語ったそうだ。千葉はその期待に良く応えた。
原爆によって全ては消えてしまった。だからこそ宝石のように輝きは失せない、奇跡の瞬間。「どの公演でも必ず一人は、初めて芝居を見て人生観を変える人がいる。その人のために演じる」という井上ひさしの自説もセリフに盛り込まれている。日系二世役の七瀬なつみは雰囲気が初演の森光子を彷彿とさせた。