ユー・アー・ミー? 公演情報 演劇ユニット TakeS「ユー・アー・ミー?」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    知己から手渡されたチラシを見れば「作:鈴木聡」。ラッパ屋を1回しか観れてなく、別の鈴木コメディを手近に観られるぞ、と楽しみに出かけた。ところが開幕するなり既視感。初めてラッパ屋を観た作品がこれであった(これと合せて2回観ていた。先日のSPIRSLMOONと言い、題名で気づかないのか俺、と我が脳ミソを疑う俺。)
    本家のモデルを思い出しつつ、比較しながら観てしまうとどうしてもあちこち不足感を抱く事になったが、お話はやはり面白い。
    舞台は開幕から終演まで、とある会社のエレベータ前ロビー。時流に鈍感な主人公が、出世コースに乗り遅れるどころか、自分の「存在」まで脅かされる。時流とは例えばスタバ・コーヒーのカップ。メールチェックと反応の迅速さ。中身のない「スタイリッシュさ」が誇張されるが、主人公はどこ吹く風である。が、芝居の序盤で「異変」が起こる。現実にはあり得ないフィクションだが、現実にあり得る事態の「本質」を映した現象ではあり、主人公の焦燥は観客にも身につまされる。

    舞台は、初日でもあってか、ギクシャク不具合がある。言ってしまえば「時間の処理」と演技のディテイルの詰めで損している。音響の手捌きも。。
    会社勤めの「あるある」には作者鈴木氏の見聞の裏打ちを感じさせるが、中でも「悲哀」の側面は「正直者は馬鹿を見る」的な洞察・共感をもって描き、敢えて突き放し、戯画化して笑いの対象にしている。だがカリカチュアな笑いの根底にリアルがある。
    この芝居の全体像(構造)を理解し共有する事が肝要だろう所、世界観の揃ってなさが時折気になった(皆が同じ場所を目指している事自体が芝居を支えている事は多い)。
    戯曲上扱いが難しそうな最終盤(不条理に情勢逆転する)も、やはり難しい。理想的な和解が成立したその直前のクライマックスでは十分にカタルシスに至ってよく、その後のどんでん返しはお遊び的なオマケ(「しかしお客さん現実はこっちだよね」、という)、匂わす程度の終わり方にしたかった気がした(「終わり良ければ」の形をもう一歩探りたい)。
    ・・やはりどうしても本元と比べて観ざるを得なかった。

    0

    2022/07/14 09:19

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大