マックス・フリッシュ「バイオ・グラフィ: プレイ(1984)」 公演情報 shelf「マックス・フリッシュ「バイオ・グラフィ: プレイ(1984)」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    主人公が大学教授になったお祝いのホームパーティーの終わった後、見知らぬ若い女性が残っていた。その女性と恋に落ち、結婚したことで、人生を狂わされた男は、彼女のいない人生をやり直すことを望む。そうして演出家の突っ込み(一種の解説にもなる)をうけながら、一度は過去に戻る。しかし、やはり彼女とともに生きる方を選んでしまう。

    女を愛するがゆえに女に縛られ、悲劇に陥るのは「范の犯罪」を思い起こさせられた。2時間、結構トリッキーな芝居だが、飽きずに見られた。脇役の女優の女中訳、イタリア女役などに変わる、コミカルな振る舞いがいいアクセントになった。後半は妻の浮気を巡る夫婦の心理劇。それが結構面白かった。浮気する妻が堂々として、なじる夫がおどおどしている。浮気男と対決するが、間男の方が偉そうで、夫が防戦。この普通とは逆転した夫のふるまい、心理が、ごく自然でよくわかった。

    ネタバレBOX

    主人公の男は一度は、妻の浮気に苦しみ、妻を撃ち殺してしまう(これが「范の犯罪」と似ている)。それで今は独房にいるらしい。これはショッキングな展開で、非常にぞくぞくした。
    かと思うと、もう一度やり直すと、突然倒れ病院で寝たきりになる(実際には車いす)。妻の浮気相手とも和解し、妻は浮気をやめ、けなげに見舞いに来てくれる。
    そしてもう一つ、女が「私にも思うところがある」とパーティーの晩からやり直すと、女はさっさと帰ってしまい、二人の恋は生まれない。一番賢いのは女というシニカルな結論なのだろうか。

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    2022/06/13 15:41

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