実演鑑賞
満足度★★★★
素直によかった。熊徹と九太の新たなきずなが生まれるラストには心震わせるものがあった。長老の跡目を決める勝負や、九太の修行だけでなく、嫉妬や疑いといった心の闇、メルヴィル『白鯨』を通した自己と世界の関係への洞察、闇に転落した友人と刃を交える辛さ等々、深みのある物語だった。
熊徹・猪王山の巨大モードや、白鯨の化身のパペットも見事。舞台装置も、渋谷と渋天街の異なる雰囲気をよく醸し出していた。音楽、ダンスもよかったのだが、ブロードウェイやディズニーのヒット作に比べると、もう少しパワーアップが欲しい。ダンスの華やかでゴージャスなシーンや、「メモリー」のような心にしみる音楽があれば、文句なしなのだが。