ザ・ダイバー 日本バージョン【9/20千秋楽】 公演情報 東京芸術劇場「ザ・ダイバー 日本バージョン【9/20千秋楽】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    逃げ場がない豊かさ
    そりゃ、野田演出の大竹しのぶさんですから・・・、
    覚悟はしていました。
    ロンドンバージョンも観ていたし。

    にもかかわらず、予想をはるかに超えて伝わってくる情念に
    もう、なすすべがありませんでした。

    ロンドンバージョンよりも
    言葉の制約がない分
    その情念がまっすぐ舞台からやってくる・・・。

    物語の構造に目を奪われ
    舞台上でなされる表現の豊かさに目を見開き・・・・。

    抜けるような青の透明感はロンドンバージョンが上だけれど
    その情念の色は今回が勝っていたような。

    ネタバレBOX

    極刑の示唆や処刑のイメージが強めに描かれたのは
    裁判員制度への意識があったのかもしれません。

    自らが抱えきれないものが溢れた時
    冷厳に罪としてそれを裁くことができるのか・・・
    昨今の裁判事情を鑑み
    考えてしまいました。

    それにしても、物語の奥行きが本当に深い舞台です。
    源氏物語の借景が見事に生きて
    大竹しのぶ演じる女性の
    うちから沸き立つような情念に
    ぐっと心を奪われます。

    主人公のなかにあるビビッドな想いと
    表層の少し荒んだ彼女の実像の
    それぞれに超越したリアリティがあって・・・。

    不倫相手とのビビッドな日々が
    浮き立つように鮮やかで濃密。
    それゆえ修羅の目覚めに
    必然が生まれて・・・、
    しかも育つ・・・。

    囃子方の音響が
    観る者の感覚を有無を言わさずにこじ開けて・・・。

    役者たちそれぞれにも
    高い円熟と切れが同居していて、
    演劇表現の頂を見る思いがしたことでした。










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    2009/09/04 23:15

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