実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/01 (水) 13:30
座席1階
高齢化が進むヤクザの「任俠熱海組」と、その抗争相手の「沼津一家」。これに静岡県警のヤクザ担当刑事たちが絡んで繰り広げられる「義理と人情のアクション劇」。スーパーエキセントリックシアターの舞台から見るとかなり落ち着いたイメージの舞台だが、休憩をはさんで3時間余りのステージはコロナ禍の中で久々に大笑いができる仕上がりだ。
新橋演舞場は今回から、花道の使用を許可したという。ここが使えると使えないとではかなり大きな違いがあるだろう。ゲストのA・B・C-Zの塚田僚一がバク宙で登場するシーンなど、おもしろさが増している。
設定が「高齢化に苦しむ暴力団」なので、三宅裕司やラサール石井、小倉久寛ら座組の主力たちはその老化ぶりを競って表現することになるが、本人たちも結構高齢化といっていい実年齢だけに、その演技もあいまって何だか哀れを誘う。客席もかなり高齢者の人が多かった。もちろん、年に1度のこの舞台を楽しみに来ているつえを突いたおじいちゃん、おばあちゃんにとって、新橋演舞場のこの時間は、替え難いものなのだが。
浅野ゆう子はさすがに貫禄があった。その妖艶さは際立っていた。W浅野という懐かしい言葉も聞けて満足。休憩時間のバックミュージックは幅広く昭和の歌が流れていて、自分を含めたおじさん・おばさんたちも大満足だ。
ただ、刑事役で登場する春風亭昇太はどうなのだろうか。この人、落語家だけにカーテンコールの時の小話は強烈に面白かったが、役者には向いていない。台本もそれを見越してせりふをかむというのをギャグにしていたのだが、ちょっとかわいそうで見ていられない感じだった。
自分としては、スーパーエキセントリックシアターの舞台の方がギャグに切れがあって「あー、おもしろかった」と劇場をあとにできる。切れが今ひとつだったのは、役者さんが年を取ったためとは思いたくないなあ。