雨と夢のあとに 公演情報 Yプロジェクト「雨と夢のあとに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/05/28 (土) 18:00

     物語は幼い頃に母を亡くし、父·朝晴と雨の二人で暮らしていたが、ある日、朝晴は幻の蝶を捕まえるため、娘を一人残して台湾へと旅立つが、数日後に雨のもとに幽霊の体となって現れるという不思議で、舞台の後半になると、父·朝晴が娘を愛するあまり、傷付けたくない一心で、隠し通して嘘を付いていたことが、実は朝晴が実の父親ではなかったり、母親が実は生きていたりといったことが次々に露見していき、雨が住む家の近くに引っ越してきたという妖しくもミステリアスなイラストレーターの女性が実は○○だったり、謎が謎を呼び、それでいて、雨の真実を受け入れることへの葛藤であったり、雨がまだ物心がついたというには微妙な14歳にして、自立し、ショックやトラウマをも受け入れ、乗り越え、大人にならなければいけない、過酷だけれども避けては通れないことへの苦悩や喜び、幽霊の朝晴の苦悩や葛藤、自分の父親との溝、かつての恋人野中マリアとの複雑な関係、野中マリアが有名ではあるが、本当はかつての恋人や雨との関係に悩み、その思いがどこか空振りする葛藤、叔父さんの朝晴への並々ならぬ愛と人情など、ドラマとしてもしっかり押さえながら、勘違い笑いやドタバタな笑い、ズレた会話による笑いなど笑える場面も盛り沢山で、それでいて病室に怨霊が出てくる場面を入れたりと、恐怖シーンもしっかり盛り込んでいて、舞台全体として、笑いも節々でしっかり取りながら、感動ポイントや恐怖シーンもしっかり押さえていて、非常に良くできていると感じたし、最後のほうで雨が幽霊朝晴と別れる場面にすごく胸が熱くなり、眼から涙が出た。

     桜井雨役の市瀬瑠夏さんが普段は明るく元気でしっかりしているようでいて、親思いだったり、父が実の親じゃなかったり、朝晴がもうすぐ消えなければいけないことをなかなか認めたくない、不安や迷い、焦りや怒りなどを声の出し方も含めて意識してしっかりと、感情に強弱を付けたり、表情に変化を付けたり、身振り手振り加えたりしていて、その演じているさまに可能性を感じ、魅入った。
     幽霊朝晴役の粕谷桂五さんは、娘思いだがちょっと鈍くてダメで、素直になれないが、憎めない役どころを見事に演じ切り、幽霊だけれども不気味さや怖さというよりも、親しみやすいけど、でも幽霊だと言う感じの表現の仕方が絶妙で、とてもうまかった。ただ、滑舌がところどころ悪いのは難点だった。

     野中マリアのマネージャー早川霧子役の倉田瑠夏さんのスターほど華やかさはあまりないけれど、きめ細かくて、しっかりしているが、野中さんの良き理解者であると同時に、雨のことも良く知って、理解しようと努力し、本気で雨と野中マリア、朝晴とを和解出来るように奔走する役どころを元「アイドリング!!!」というアイドル出身にしては、かなり演技がさり気なく、型破りに演じきっていて、見事だった。

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    2022/05/29 01:29

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