雨と夢のあとに 公演情報 Yプロジェクト「雨と夢のあとに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    楽しめる、オーソドックスなヒューマンドラマ。
    物語は悲しい内容だが、自分の感受性が枯渇してきたのかもしれないが、感涙という感情は湧かなかった。どちらかと言えばファンタジー色が濃く、愛しい子を見守る父や親しい人々の優しさ、そんな清々しさを感じさせる。
    雨が(泣き)止んだ後の晴れ間は、幻の蝶が舞うように輝いて見える、そんな美しい光景の舞台。

    2人暮しをしている中学2年生の雨と父親・朝晴親子が主人公である。朝晴は蝶の採集で台湾に幻の蝶を捕まえに出かけたが、不慮の事故に遭う。そして魂だけが戻ってきたが…。

    舞台セットは あまり作り込まないで、上手に段差を設けて、2人の自宅(室)とする。一方 下手は、状況に応じて小道具を搬入し場景を作り出す。基本的には、上手 下手が場所を表し、中央の大きな空間で登場人物が物語を紡いでいく。空間の広がりが、感情の締め付け(緊密さ)を緩め、ファンタジー色を強く感じさせた、と思う。
    (上演時間2時間10分 途中休憩10分)
    【Team HARU】

    ネタバレBOX

    舞台セットは先に書いた通りだが、後景の幾何学的な硝子細工がはめ込まれた衝立に緑や青色の照明を照射し、硝子を通して奥に樹木が生い茂っているような葉が見える。2人の部屋と隣接しているようで温かく、そして台湾の密林イメージを醸し出す。2人が暮らしている部屋にはコントラバスが置かれ、小道具として固定電話機。

    朝晴は、自らが死んでいるとは思っていない。ある日同じマンションに住んでいる隣人・暁子に自らが幽霊であることを知らされる。そして雨は まだ朝晴の死を知らない。雨の母親は 雨が2歳の時に亡くなったと、それ以来 父娘2人で暮らしてきた。元の生活に戻った雨だが、だんだんと朝晴の行動に違和感を覚える。

    朝晴の姿が見える見えないは、生前から好意を持っていた人、霊能者、または自分自身も幽霊である人しか見えないという設定。その見える見えないの違いが面白可笑しくなるはずだが、登場人物の多くが見えているようで、面白さの妙味が利いてこない。
    物語の観どころは、死んだことになっている雨の母・野中マリアは生きており、雨を引き取りたいと朝晴に言い出す。自分の生き甲斐(歌)のため雨を残して出奔し、名声を得たから名乗り引き取りたいと…。いつ朝晴が雨に自分の死を知らせるのか(知らせることで朝晴は成仏してしまう)、朝晴と野中マリアとの親権争い、朝晴と暁子との関係が進展するのかが中心。

    幽霊の残魂は、必ずしも生きている相手を思いやるだけではない。時に恨みがましいこともある。病院で恋人の手をさすり続ける行為、それは一見相手を愛おしんでいるようだが、実は相手を早く死に至らしめる邪悪な(生を奪う)行為であることを知る。以来、朝晴は雨や親しき人々に触ることが出来ない。愛おしく触れたい思いと、その行為によって招く結果の皮肉が寂しく悲しい。

    色々な思いを紡ぎ人の思いが柔らかく、そして温かく描かれた王道的なヒーマンドラマ、安心して観ていられる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/05/26 06:06

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