実演鑑賞
満足度★★★★★
好きな劇世界、ツボであった。思い出したのは名取事務所「背骨パキパキ回転木馬」。新作オファーに別役氏が(病体を押して)書いたよこしたのは自身のエッセイのコラージュと言えるもので、ペーター・ゲスナー氏がうまく舞台化していて秀逸であった。明確なストーリーのある劇ではないが、脳内の思考や空想のように一見文脈はなくてもどこか深層で繋がっているようなのが好きで今回の舞台にもその要素がある。
大竹野正典作品はコットーネ主催公演で6、7本観てきたが本家のくじら企画では初めて。大竹野戯曲が持つシリアスと飄然の狭間の絶妙な具合が十二分であり、さすが、魂を受け継いでるなァと感ずる。
作品は内田百閒を描いた異色作との事だが、内田氏の親友とのエピソードを軸にしながら(評伝というより百閒作品自体が出典と推察)、他の作品を織り交ぜて「百閒世界」という感じ。