グリーン・マーダー・ケース×ビショップ・マーダー・ケース 公演情報 Mo’xtra Produce「グリーン・マーダー・ケース×ビショップ・マーダー・ケース」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『ビショップ・マーダー・ケース』

    死ぬ程面白い。この方法論で古典ミステリーの再生を続けていって頂きたい。幾らでも観れる。とにかく夢中になって読み漁った子供の頃の気分に浸れる。何だろう?この感覚は。役者の出入りのテンポが抜群で、ページを捲るようにシーンが切り替わる。
    ソウルやファンクのR&Bが随所に仕込まれていて効果的、華やかに盛り上がる。センス抜群。
    脚本・演出の須貝英氏は何者なのか?

    1928年ニューヨーク、探偵を開業することを考えている元刑事のサイモン・ブレイ(林田航平氏)。降りた駅で彼を待つ新聞配達の少女アル(中野亜美さん)により、謎の依頼人のもとへと案内される。到着したディラード家には警官が集まって物々しい雰囲気。今まさに殺人事件が発生したのだ。マザーグースの童謡に準えた異様な連続殺人事件が幕を開く。

    林田航平氏は勝村政信や寺脇康文、安藤政信に似た長身のイケメン、格好良い。
    今作の名探偵ファイロ・ヴァンス役は大塚宣幸氏。オシャレで多趣味な精神分析好き。
    地方検事のジョン・F・X・マーカム役は加藤良輔氏、コミカルなワトソンの役割で場を和ませる。
    屋敷の主人、バートランド・ディラード(大内厚雄氏)は数理物理学の元教授。杖をついていかめしい。
    誰からも愛される教授の姪ベル(佐藤みゆきさん)は男性陣の憧憬の的。
    メイドのデイジー役の永田紗茅(さち)さん、強烈な役回りでこのミステリアスな屋敷のスパイスとなる。

    ディラード家の隣家、ドラッカー家の母子が強烈。アマチュアだが天才理論物理学者のアドルフ(竹井亮介氏)は脊柱側弯症の子供好き。田中千佳子さん演ずる母、メイは認知症が進行していて横溝正史テイストの無気味な老婆。

    MVPは小林少年を思わせる探偵助手として大活躍の中野亜美さん。明るく元気一杯のこういうキャラを創作して挟み込む作家のセンスに唸る。
    数学者とチェスプレイヤーが織り成す高度な頭脳戦、ビショップ(司教)の真の目的とは?

    ネタバレBOX

    原作は名高い『僧正殺人事件』。「見立て殺人」ものの元祖の一つで、アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』、横溝正史『獄門島』『悪魔の手毬唄』等はもろに影響を受けている。何かに準えた異様なヴィジュアルの殺人事件が続くといえば、角川映画×市川崑×横溝正史=金田一耕助。何でわざわざこんな手間が掛かった殺しをしなければいけないのか?と犯人に同情すら覚えたもの。日本人の大好物なミステリー・ジャンル。

    今作は声だけの出演(駅に現れる時は日傘で顔を隠している)の謎の女、エレノア・ジョーンズ(声・永宝〈ながとみ〉千晶さん)。ここまで行くと浦沢直樹作『MONSTER』のカリスマ、ヨハン・リーベルトだ。この後、どんな展開を構想しているのか気になる。年一本でいいので続けて頂きたいシリーズ。

    分からなかったのはアドルフとベルの遣り取り。「写真を4枚渡した筈だが。」「いえ、3枚だったわ。」、はっとして何かに気が付くアドルフ・・・。この伏線がよく分からなかった。

    終演後、グッズ売り場に長蛇の列。かなり男性客も多く、今劇団に対する支持率の高さを実感した。

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    2022/05/18 15:19

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