実演鑑賞
満足度★★★★
この作品を見るのは2回目。今回は父親の堤真一がしっかり中心に座って、戯曲本来の構造にのっとっていたと思う。前回(詩森ろば演出)は母役の神野三鈴が素晴らしすぎて、母中心の芝居に見えた。やはり名作である。今回の母親役の伊藤蘭も悪くなかった。
長男役の森田剛は少々おとなしかったが、父親の罪の隠ぺいを剥ぐときはしっかり迫力があった。長男が俗事に染まらない潔癖な性分というのは、弁護士になったジョージ(大東駿介)のせりふで印象づく。長男の芝居のなかでの言動からは示唆されない。戯曲の小さい欠点だが、おやっと思った。
コクーンの広い舞台に、壁面いっぱいにそそりたつ横板張りの家の壁。マイホームというより、閉じ込められている牢屋のイメージを感じた。またマイクなし(集音マイクは使っているかもしれない)でも声がよく通っていた。発声は大変だと思うが、生の声が芝居をいっそうリアルにした。