みんな我が子 -All My Sons-【5/17(火)~24(日)公演中止】 公演情報 Bunkamura「みんな我が子 -All My Sons-【5/17(火)~24(日)公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この作品を見るのは2回目。今回は父親の堤真一がしっかり中心に座って、戯曲本来の構造にのっとっていたと思う。前回(詩森ろば演出)は母役の神野三鈴が素晴らしすぎて、母中心の芝居に見えた。やはり名作である。今回の母親役の伊藤蘭も悪くなかった。

    長男役の森田剛は少々おとなしかったが、父親の罪の隠ぺいを剥ぐときはしっかり迫力があった。長男が俗事に染まらない潔癖な性分というのは、弁護士になったジョージ(大東駿介)のせりふで印象づく。長男の芝居のなかでの言動からは示唆されない。戯曲の小さい欠点だが、おやっと思った。

    コクーンの広い舞台に、壁面いっぱいにそそりたつ横板張りの家の壁。マイホームというより、閉じ込められている牢屋のイメージを感じた。またマイクなし(集音マイクは使っているかもしれない)でも声がよく通っていた。発声は大変だと思うが、生の声が芝居をいっそうリアルにした。

    ネタバレBOX

    ジョージは一度はケラー夫妻の歓待に丸め込まれそうになるが、母が口を滑らせた一言で、再び厳しい態度になる。長男が父へ疑いを向けるのも、母親の一言にある。父親は鉄面皮を通しているのに、母親からぼろが出ていく作劇になっている。「賢くやることよ」と母親が父親を支え動かしてもいるのだが。

    最後の父親の決断をすっかり忘れていて、衝撃を受けた。「セールスマンの死」に通じるラストだ。ミラーからの父なるものへの嫌悪と指弾なのだろうか。婚約者(西野七瀬)が、ケラー家が自分の父親にしたことをすべて知っても、それでも長男と結婚しようというのは、どういう気持ちなのだろうか?疑問に残った。

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    2022/05/15 12:44

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