七慟伽藍 其の二十八 公演情報 THE REDFACE「七慟伽藍 其の二十八」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    脚本は面白く、演出は情景・心象表現に優れ、役者は迫真の朗読演技。圧巻…お薦め。

    活読劇というのを初めて観て聴いたが、素晴らしかった。この「七慟伽藍」は2009年4月初演で、本公演で其ノ二十八を数えるというのも肯ける。壮大な戦国時代絵巻を七人の武将とストーリーテラーの八百比丘尼の八人で紡ぐ。役者は台本を持ち、立ち座りといった最小限の動作、豊かな感情表現で観(魅)せるが、さらに照明や音響が臨場感を高め、観客の感性を揺さぶる。

    物語は、戦国時代の通史というか歴史小説等で知られた内容をベースに、「本能寺の変」の謎を興味深く描いており、歴史好きには堪らない公演だろう。初演当時は「戦国に詳しくないから一度では分からない」と言われたそうだが、今ではすんなり伝わるようになったという。自分は、一度では分からないではなく、もう一度、いや何度でも聴き観たくなるほど、その世界観に痺れた。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは木製の変形二段平行台、一段目に4人(上手側から順に 徳川家康、豊臣秀吉、明智光秀、浅井長政)、二段目に(上手側から武田信玄、織田信長、朝倉義景)が黒着物姿で座る。なお配置にも意図がある。上(二)段中央にいて睥睨する信長、下(一)段は、配下の武将または同盟武将・義弟である。夫々の席にはマイクが設えており、台詞が聴き難くなることはない。冒頭は、(初めは正体不明)八百比丘尼が黄泉の国へ七武将(彷徨える魂)を誘うような…。語られるのは、七武将が覇権・天下統一を目指していた頃の回想、生きている時には知り得なかったことが次々明らかになる。乱世ならではの非情や無念といった慟哭(心情)を表現。ここまでが通史的によく知られた物語。

    魅力は、天下統一目前で「本能寺の変」で死んだと思われた織田信長が生きていた、そして明智光秀もまた、という奇想天外な展開へ…。そして日光東照宮等の建造物に今も残る謎を示す数々の痕跡、さらに子供遊びに歌われる「かごめかごめ」に秘められた歌詞の謎。飽きさせない、いや逆に興味を惹かせるような知的好奇心への擽り。また七武将に関係する千利休や石川五右衛門といった人物との逸話も挿み、物語に広がりを持たせる工夫が実に巧い。

    そして何と言っても演じている役者の熱演が凄い!七武将…織田信長(榊原利彦サン)の睥睨し他者を圧倒する迫力、明智光秀(川本淳市サン)の苦悩・苦悶する繊細な表情、豊臣秀吉(串間太持サン)の”猿”と言われた小狡いさ、剽軽さ、浅井長政(高橋孝輔サン)の愚直で厚情ある思い、武田信玄(山口仁サン)の渋みある低音が貫録を表現、朝倉義景(川原英之サン)の上品で端正だが、線の細さは義景イメージ、徳川家康(石垣佑麿サン)の捉えようのない姿の中に芯の強さを感じさせる。そして唯一の女優(艶やかな着物姿)で八百比丘尼(後藤萌咲サン)のストーリーテラー、その他 森蘭丸・千利休・石川五右衛門といった人物の逸話を情感溢れる演技で武将達を支える。

    役者の熱演を、多彩な照明や音響効果で支える。冥界といった空間、伽藍といった場所は言葉(台詞)で表現し難いが、例えば渦巻状の照射で曖昧さを表現、合戦場面等は真っ赤にするなど状況演出が巧い。
    物語の謎…「『本能寺の変』驚愕の真実」は、ぜひ劇場で堪能してほしい。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/04/21 00:14

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