溺れる家族 公演情報 アロッタファジャイナ「溺れる家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    もうひとつの家族


    波島家、望月家、菊見家、長澤家、田所家、村山家、霧島家の7家族が少しずつ関係性を持ちながらも家族とは何か?を描いた作品。
    要するにどこの家庭にも人には言えない問題の一つや二つは抱えてるということ。

    以下はネタばれBOXにて。。



    ネタバレBOX


    波島家の主人・和郎(テレビコメンティーター)には昔付き合っていた望月美緒がいた。彼らは愛し合っていたが和郎の勤め先の上司から家沼衆議院の娘・早苗との縁談を持ち込まれる。早苗は同僚の和郎に以前から好意を抱いていて、父親に相談したのだった。和郎はこの縁談を美緒に話してしまい、美緒は和郎の将来を考え身を引くことを決めて、失踪してしまう。
    月日は経って和郎は早苗と結婚し長男・和則、長女・和美が生まれる。

    一方で失踪した美緒には和郎との子供・美和が生まれるが、美和は父親は自分たちを捨てたと思い込み母親の死後、父親への復讐を誓い、霧島がそれを手伝う。

    この二つの家族が軸になって舞台は動くが、一つの疑問が生じる。それは美緒はなぜ、娘の美和に真実を伝えなかったのか?という疑問だ。この真実を美和に教えていたなら美和は自分の人生を復讐に時間を削る必要はなかったはずなのだが・・。

    波島家の長男・和則はエリートの家に生まれて何不自由なく暮らしてきた結果、我侭で幼児性が強い性格になってしまっていた。彼の職場(銀行)の上司はかつての和郎の部下だった菊見裕一。そして菊見の恋人が和則と同じフロアの田所利香と知るや、和則は人のおもちゃを欲しがる子供のように利香にちょっかいを出す。
    女って強引な男に弱いよね~、なんだかんだいって好き好き光線を持続して浴びせられると大抵の女は落ちる。だから諸君!宝引きは、そうあっさりと手を離してしまわない方が宜しいようです。じっくり粘ったらハズレからアタリに変わることも御座います!(^0^)

    して、利香は菊見とも和則のフタマタをかけることに・・。(失笑!)
    しかし、その棚から牡丹餅状態は長く続かず和則との関係は菊見の知るところとなる。菊見と利香の結婚で逆切れした和則は利香にカッターをつき付けて菊見を脅すが菊見は和則を説得し、利香の不貞を知っても結婚する、という大人な判断をする。

    長澤了祐は鬱で作家希望の引きこもりで妹・志保から暴力を受けていた。了祐の鬱をサポートするのが大学のうつ病患者を支援するサークルの同志・波島和美と村山沙織。しかし、彼女らのサポートの甲斐なく了祐は志保の罵倒に耐えかねて志保を殺してしまう。

    ここでの登場人物は心に何らかの闇を持っていて、それはエリートの父親を持ったが上の重いプレッシャーだったり、思い込みによる被害者意識だったり、過剰な自尊心だったり、現状に不満しか見出せない感情だったり、不条理な思いだったり・・。
    それらが少しずつ繋がって大きな渦となり、闇はどんどん広がって大きくなってやがて漆黒の夜に飲み込まれる。闇が悪魔だとしたら、悪魔は決して目立たない。悪魔でございという顔もしていない。いつの間にか百年の知己のような顔をして静かに隣を歩いているのだ。
    そうして彼らが気が付いた時には悪魔に半分の魂を取られてるかもしれない。残りの半分の魂が健全ならば、美和のように真実を知った後、復讐という呪縛から解き放たれて、自分に戻ることができる。
    家族とは良い事も悪い事も含めて共感して生きていくものだ。そうやって、偽りの家族から本当の家族になれるのだから・・。

    和則(太田)と利香(青木)の絡みは面白かった!
    松枝の本は比喩のセンスが絶妙で好きだ。

    しかし・・アフタートーク(斉藤先生)では政治がらみの話が多く、いつもの精神論は聞けなかったのが難点。
    ナカヤマミチコが頑張ってました。客入りから終演後の「すなっくミチコ」でも。彼女の手作りの肉じゃが・パスタなどが有料で販売されます。価格表が欲しかったかも。トークと同時に作り出すので、トークに集中できない。どちらか一つで良かったような気がする。

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    2009/07/24 18:42

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