異人たちとの夏 公演情報 東宝「異人たちとの夏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    他人に思われているからこそ自分は生きている 亡くなった人を思う気持ちがあれば、その人は生き続ける。
    原作は、ドラマ脚本で有名な山田太一。
    20年前に、監督:大林宣彦、脚本:市川森一という最強タッグで映画化された作品の舞台化です。

    さて、スズカツさんの舞台での決まりごと、お客入れの時間には、ジョン・レノンのスタンド・バイ・ミーがかかり・・・最初のアパートのシーン。
    ストーリーを知っているから、もうすでに泣きそうになります。

    都会の孤独。
    他人に思われているからこそ自分は生きている
    亡くなった人を思う気持ちがあれば、その人は生き続ける。

    毎回、両親は、舞台上でストップモーションのように止まっている姿で登場し、主人公に会ったとたんに動き出す。
    彼の思いがあってこそ、生きたように動くのだと。
    そしてケイも、主人公に『二度目に会ってから』は見違えるように明るく幸福そうな表情を見せます。

    途中、舞台上では父子でキャッチ・ボールが始まります。
    同じスズカツさん演出・椎名さん主演の「レインマン」でもサッカーボールでのやり取りのシーンがあり、一発勝負のボールの行方に、観客も目が離せません。
    客席に飛んだことは無かったのでしょうか?是非見たかった。

    椎名桔平さんは、両親やケイと会っているときなど、表情の演技がうまい。
    甲本雅裕さんはイメージどおりの下町の親父。
    今回は特に、池脇千鶴さんが見せた、母親の包容力のある包み込むような優しさ、かわいらしさ、が新しい発見でした。

    ネタバレBOX

    さて注目は、名場面のすき焼き屋のシーン。
    (すき焼き屋の仲居さんに息子を自慢する父親のシーンがこれまた泣ける;;)
    映像作品では、フェードアウトとオレンジの光で暖かく処理していた、両親との別れのシーンは、両親が普通に手を取り合って舞台奥に歩いて消えていったのですが、同時に「椎名さんの演技」である一瞬でうっすらと消えていってしまっているのだ、という様子がわかります。

    また、ケイとの別れのシーンでも、抱きしめているのにすりぬけられて消えていってしまう。
    これも椎名さんの演技を通して観客が想像することで成立する、いいシーン、いい演技だと思います。
    このケイとのシーンは、映画では急にホラーもののようになってしまい、非難されることが多いのですが、舞台版では、最初は少しうらんでいても、あくまでも愛しているという、優しいシーンになっていて良かったです。

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    2009/07/22 19:24

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