村井美樹のmono*mono語り vol.1 公演情報 supported by ai-ou !「村井美樹のmono*mono語り vol.1」の観てきた!クチコミとコメント

  • 気持ちよく惹き込まれました
    2作とも、語り口によどみがなくすごくしっかりしていて
    コンテンツがまっすぐに伝わってくる。

    聴いているうちに
    舞台(高座?)に醸し出される
    心地よい高揚に引き込まれていました。

    これまでにないテイストのパフォーマンスかも・・・。
    元の噺にしろ小説にしろ
    作品の薫りが失われずに、
    むしろ世界が広がる感じがあるのもよい。

    お世辞抜きでとても楽しむことができました。

    ネタバレBOX

    ソワレを観ました。

    内容的には落語を一席と、太宰治作の小説のリーディング(パフォーマンス)でしたが、どちらの作品にもじわじわと観客を引き込んでいくような力があって・・・。

    村井美樹ならではの世界を楽しむことができました。

    ・金明竹
    たっぷりの拍手に押されるように出囃子に乗って登場。枕も無難な感じ。今回監修役の春風亭百栄師匠にとんでもない名前をつけられたというくだりから、すっと噺に入ります。

    前半のバカ小僧とのやりとりは、女性が演じるということで、旦那の役回りがおかみさんに振りかえられているのですが、このおかみさんがすごくよい。いやみのない色香に加えて、ちょっとした感情の動きや、後半に垣間見せる小狡さにまでも不思議な実存感があるのです。女優としての力量が生きているというか、むっとしたときの表情などに感情がしっかりと折り込まれていて。
    一方の小僧も今様に仕立てられていて、それが加賀屋からのお使いの言い立てと不思議にマッチする・・。

    その言い立ての部分が、大向こうを唸らせるほどに見事でした。くっきりした発声にあざとさを感じさせないイントネーションで流れるように語っていく・・・。3度の言い立ての早さなども絶妙にコントローされていて。グルーブ感すら感じるほど・・・。これで客席が一気に暖まりました。そこからの旦那とおかみさんの珍妙な会話は彼女の手の内という感じ。ふくらみが高座にうまれて、落ちもすっと決まったことでした。

    ・燈籠

    太宰治の作品。冒頭のどこか投げやりな感情表現がさらっと観客を物語の世界に引き入れます。淡々とした前半の語りに主人公の日々の鬱屈がに折り込まれていて・・・。それが盗みから交番での開き直りの部分での主人公の箍の外れたような高揚を一層鮮やかに照らし出していきます。

    主人公が持ち合わせている性格のようなものが、語られる言葉を凌駕した空気として観客に伝わっていくのです。

    だから、鬱屈した雰囲気を覆すような電球の光のエピソードにも沁み入るような力があるし、スノッブな手紙を投げ捨て窓を開け放って叫ぶシーンが鮮烈であっても唐突には感じない・・・。

    役者の力量からすると、さらにもう少しひろがる余白はあるとおもうのですが、でも、作品に内包されている主人公のヴィヴィッドな感情は十分な密度で表現されていたように思います。

    この企画、Vol.1とのことですが、継続されれば、村井美樹の資質からさらに興味深いものが生み出されていくような気がするのですが・・・。






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    2009/07/21 13:31

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