ながいながいアマビエのはなし 公演情報 劇団 枕返し「ながいながいアマビエのはなし」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    タイトルこそ「ながいながいアマビエのはなし」だが、上演時間は60分とコンパクト。その時間で描くアマビエの物語は、相当の想像力を要するが、それでも分かり難い。「人生大逆転ツアー」に参加した人々。途中でバスが故障し、何かに追われるように森へ。森の中へ行く人、止まりバスに戻ろうとする人、そんな選択から物語は始まる。
    (上演時間60分)

    ネタバレBOX

    ほぼ素舞台。後方は暗幕、森林イメージを出すため 数か所の柱に蔦を絡め、上手に椅子2脚、下手に箱馬が2つ。

    役者(ツアー参加者、アマビエ役)は客席通路から登場。バスが故障し何かから逃れるため、森までやってきたというシーン。このツアーに参加したのは、ガイドを含め8人。結局全員が森の中へ入る。人生をやり直したい、そんな期待を込めて参加したが、思うようにいかない。追いかけていたのはアマビエ兄妹、容姿はペンギンに似ている。「アマビエ」とは妖怪らしいが、その存在すら知らなかった。Wikipediaによれば、江戸時代に出現した日本の疫病封じの妖怪らしい。勿論 予言も行い、それを現代のコロナ禍に結び付ける。

    ツアー参加者の挫折、苦悩、そして抱えた問題が描き切れていない。1人 2人の失敗談はあったが、表層的なもので掘り下げがない。本筋は、そのツアーに参加していた人物(女性)が、皆の記憶から欠落したこと。居た事=あった事をいつの間にか忘れる。アマビエを通して、現在(コロナ禍)の苦難も、やがて忘れ去られてしまう、を描いたものか。

    ツアー参加者の中に新婚3か月で妻から離婚を言い出された男(金野優樹サン)…他人と比べる(サウナの時間)、外面が良い(妻の女友達への対応)の人物像を立ち上げる。コロナ禍でどこにも出掛けず、巣籠状態に嫌気がさした妻との気まずさ。
    もう1人(飯沼誠治サン)、子供の頃の 遊び”かくれんぼ”で気が遠くなるほど数え(耐え)る。「もう いいかい」「まあだ だよ」はコロナ感染防止対策の解除を巡る動向を連想する。

    コロナ禍を揶揄したような内容だが、描き方が表面的で深堀出来ていないのが残念。またアマビエの存在感(特に兄)はあるが、予言できるだけという役割に物足りなさ。森に逃げ込んだ8人のうち3人を取り込んで喜ぶ、その意味は何か。
    ラストは、ツアー参加者夫々が地に足をつけ、前向きに生きていこうとする予定調和。もう少し捻りがあると印象に残ると思うが…。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2022/04/01 15:30

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