ながいながいアマビエのはなし 公演情報 劇団 枕返し「ながいながいアマビエのはなし」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    開演前SEで繰り返された槇原敬之の『PENGUIN』がめちゃくちゃ良い曲。開幕するとこの曲を使う意味が解けた。
    「人生大逆転ツアー」と銘打ったバスツアーの参加者達。車の故障の為、下車すると深い森が眼前に広がっている。森に行ってみようとする者達とそれを拒否する者達に分かれる。そこに現れるのが皆さんお待ちかねアマビエ兄妹。人間大のペンギンの姿形に河童のルックス。驚愕した残りの皆も森へと走って行くのだが・・・。

    アマビエとは江戸時代(1846年5月)熊本県の海に出現した謎の妖怪。夜ごと海に怪異な光が発生、役人が小舟で調査に赴いた処、人語を解する化物が出現。「今年より六年の間、豊作が続くが同時に疫病も発生す。私の姿を描き写し、その絵を人々に見せよ。」とのお告げ。絵心のない役人は海上でせっせとアマビエをデッサン。その絵を江戸に送った。数度の清書の段階でアマビコがアマビエになった説もある。
    全国民に見せるべく、絵なんてろくに描けない男が代表してアマビエを描かせられる災難。「何で俺が・・・?」と身の不運を呪ったことだろう。その苦渋のアマビエの絵が200年近く経ってブレイクする面白さ。多分本物は全くこんなんじゃなかった筈。

    今回のコロナ騒動でマニアック妖怪アマビエが大注目。妖怪掛け軸専門店の「大蛇堂(おろちどう)」のツイートから、このブームが始まったとされる。アマビエの絵を掲げることでコロナの災厄から逃れようと。

    御利益があるかも知れないので、是非アマビエを拝みに足を運んでみては如何だろうか。

    ネタバレBOX

    アマビエが伝える疫病はコロナ、しかし皆もうとっくにそんなものにうんざりしている。森から出ようとする人達に対し、アマビエは個々の記憶のイメージを弄って訴え掛ける。「ここから出てはいけないのだ」と。子供の頃の鬼ごっこ、未だに「もういいよ」と言われるのを待ち続ける男。サウナに入ったが、出るタイミングが分からずずっと我慢する男。新婚3ヶ月で離婚を切り出された男。騙されて多額の借金を抱えた女・・・。
    話の途中で放り投げたように物語は終わる。

    「人生大逆転ツアー」がそもそも何をやろうとしていたのか意味不明。もう安易に「自殺ツアー」でよかったのでは。そこに偶然居合わせた離婚した夫婦を話の核にして、死にたいのにコロナに怯えてマスクをする面々の矛盾。アマビエとの出逢いで森を出る男と最後まで出ない女。

    「たぶん君と僕とじゃ行けない場所が、二人の行かなきゃいけない場所」と槇原敬之は歌っていた。

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    2022/03/31 22:20

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