実演鑑賞
満足度★★★★
私の体は私のもので、他の誰のものでもない。
大学生仙石貴久江さん(初音ミク調の髪色)が推しとのセックスで妊娠。友人の永野愛理さんに相談するとネットで色々と調べてくれる。
日本ではまだ認可されていない経口中絶薬(Women on Webと云うカナダの非営利団体が世界中の女性達の安全な墮胎を支援する為安価でネット販売)を使うことに。
かなりの出血を伴う人工流産の為、永野さんの母(原口久美子さん)の友人(洪美玉〈ほんみお〉さん)が家を貸してくれて泊まることに。
その夜、その家に集まった女達の抱えてきた痛みを大きな真白なシーツのような優しさが包み込む。
友人の山﨑智子さんの歌うオリジナル曲が素晴らしい。沖縄民謡調のこぶしが効いている。
その家の家主である志賀澤子さんと常連の喫茶店店員、奈須弘子さんの語るエピソードも印象的。最早文学だ。珠玉の連作短編集を読んでいる感覚。
これこそ女性監督が映画化してTOHOシネマズシャンテなんかで上映するべき題材。連日女性が押し掛けムーヴメントになることだろう。今作を必要としている女性は無数にいる。
こらえ切れなかった痛みとそれをねぎらう優しさが空間に満ち満ちてゆく。どんなに言葉を尽くしても誰にも判って貰えなかった苦しみを、自身の痛みとして受け止め抱き締めてくれる人達との出逢い。そりゃ演者も観客も皆泣く。頬を伝う涙で気付くのは、誰かに分かって欲しかった自分。
作者の石原燃さんは太宰治の孫!
必ず再演されるだろうから、必見。