映像鑑賞
満足度★★★★★
配信で鑑賞。いずこかの狭い空間で、居酒屋の座敷とテーブル席のエリアを設え、その居酒屋の店長(恐らくチェーン店の)の葬儀の帰りに現・元従業員の男女6名程が実質「貸し切り」状態でそこに居る。最初客席に向かって並び、気恥かしそうに「始めます」的な挨拶をしてズルっと芝居に入るのが端緒。現実の時間と地続きで境界を消している。超リアルなやり取りゆえ、当然音楽も効果音も無し、ハケはトイレの中座のみ。あとは現従業員が脇の方で駄弁りながら(一人は飲みながら)待機、途中からは店仕舞いして仲間に入る。
殆どが会話で進むが、所謂舞台上の即興というのでなくきちんと作られている。次第に見えて来る「店長の死」が当然軸になっているが、その事実と各人の受け止め、距離感がまたリアル。殆ど感傷がない。「死」を軸に劇の骨格は有りつつも、目を引くのは情景のリアルさ。その事は「脚本のよく出来た」ドラマと違い、「生きてる」人間の様そのものが醸す面白さの勝利に導いている。観客は秘密を共有した感覚になった事だろう。
映像ではこの「リアル」は、突如でかい声を出す野郎の存在と低い声の振り幅がかなりあって鑑賞にとってきつい要素。だが、二度目はイヤホンをして改めて見始めたらほぼ巻き戻しマークをクリックする事なしに「芝居を鑑賞」できた。
感傷を最大限抑制した「劇」では、リアルの純度の高さにより、僅か0.1%濃度の「厳粛さ」でもアルコールのように血を熱くする効果を持つ。過去二度観たエンニュイとは色の異なる、挑戦の姿勢を見受け、好感。
2022/05/18 22:23
2022/05/15 19:50
確かに、SCOOLからよく作り込んだな等と感心してました。。(-.-;