実演鑑賞
満足度★★★
東京五輪を来年に控えた小さな旅行代理店。運の悪いベテラン佐々(さっさ=佐藤アツヒロ)が、その覇気の無さを仲間や退職した前社長高松(福田転球)にいじられながら、みんなダラダラ過ごしている。そこに事件が起きて…。
社員たちの積立金の口座が引き落とされて、残金がなくなっていたのだ。通帳のしまってある金庫の番号を知る高松が疑われ、そうじゃないとなると、ついで数ヶ月前に退職した経理社員の津野田(永島聖羅)が犯人らしい。津野田を呼び出して話を聞こうとするが、人付き合いの悪かった津野田の連絡先を誰も知らない。ハネムーンの予約客のキリモト(生田輝=好演)がなんと釣友で、知っていた。口実つけて、呼び出してもらったが、どうやって話を切り出すか事前リハーサルで右往左往。本人が来たら、キラキラ明るく変身していた。そのあめか、みんなどうもうまく話を切り出せず、もじもじ…
人気タレントをはめどころよく配して、ツッコミやボケ(失策)で笑わせる。空気の読めない三国(五関晃一)のキャラがいいアクセントになっている。が、事件が小さすぎるのに、その展開が大げさすぎ。犯人らしい元社員にどう話を聞くかで、延々揉められても困る。しかるべき人間が、別室で率直に聞けばいいではないか。
ただ、いくつか、みにしみるとことろもある。二幕で新任の女性社長(真琴つばさ)と元バリキャリのいま自分の意見を言わないおばさん社員((小林美江)が、女性なんて、意見行っても「自分を抑えることを学べ」とか「頭いいねえ」とか「話が長い」と言われるだけ、と盛り上がるシーン。また派遣の添乗員の夏目(馬渕英里何)が、「会社に守られて、いい気味だ」「自分の代わりはいくらでもいると思うものの気持ち、わかりますか」と、派遣の胸の内を吐露するところ。これ以外、登場人物の内面・経験を掘り下げるような告白、葛藤はない。