実演鑑賞
満足度★★★★★
#ペーターストックマン
#西尾友樹 #森尾舞
#山口眞司 #野坂弘
#水野小論 #小林亜紀子
#小泉将臣(敬称略)
大上段に振りかざす正義や倫理や道徳は非常に硬質で柔軟性に乏しい。鋼の心は遊びのないアクセルのように危険だ。耐震構造も隙のない硬い素材よりも、柔軟性のある素材の方が外部からの力を逃がして耐久性がある。人の心や関係性も同じことが言えるのではなかろうか。
利権と政治の癒着。そうした悪を糾弾するジャーナリズムに対する政治介入。言論の自由の危機をチラつかせる脚本はスリリングだ。
後継ぎ問題を一方的に抱える姉と、名誉に拘る弟の確執。そこに正義の所在まで交えた駆け引きが面白い。
終末に浮き上がってくるのは女性の権利問題。ペーターを女性に設定した根底にあるのはそれに違いない。
ラストで真っ黒に見えるプールの水が、汚れた水質と政治、そして人間の心を可視化した。見事な照明の演出だった。
熱気溢れる作品。
たくさんの人に観て欲しい。
大好きな水野小論さんが本当に素敵で、それだけでも観る価値があった。