レストラン「ドイツ亭」 公演情報 劇団民藝「レストラン「ドイツ亭」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    アウシュビッツを裁いた1963年のフランクフルト裁判を、22,3歳の若い女性エーファ(加來梨夏子=好演)の目から描く。近所で中の良かった薬屋のアルベルト(松田史朗)が、裁判の初日に被告席にいるのを見て、私はギクッとした。これが自国民が自国民をさばくということかと。普通の生活を過ごしていた人が、突然戦争中のことで裁判にかけられる。「私は貝になりたい」のようだといったら、ナチスの残虐行為と、冤罪も多い日本人のBC級戦犯裁判を並べるのは不謹慎と言われるだろうか。

    フランクフルト裁判を主導したのはユダヤ人検事たち。ドイツ国民の中に、被害者であるユダヤ人がいたことは、日本と戦争犯罪追及で違った最大の原因だったのではないか。

    自分の使命として証言するオットーを演じた田口精一に惹きつけられた。ワンポイントの登場だが、裁判での存在にいいしれない迫力があった。木下順二「巨匠」も演じられるのではないか。聞くと、92歳、芸歴71年という。納得である。2時間20分、休憩15分含む

    ネタバレBOX

    過去に秘密を抱えた恋人ユルゲン(岸野健太)と共産党員だったので拷問の記憶に苦しむその父親(山本哲也)、自分を見にくいと思いこんで嗜虐的行為に救いを見出していた姉アレグレット(石村みか)、戦犯追及の私情に、自分はユダヤ人なのに部外者でしかないというコンプレックスを抱いていた若い検察事務官ミラー(箱田暁史)と、周囲の人のトラウマ、コンプレックスも、少し多すぎかというほど描きこんでいる。それぞれに角度が違って驚きがあった。

    冒頭でなくしたクリスマスピラミッド?)の飾りが、最後に意外な形で出てくる。モノに心を託す王道の物語づくりである。

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    2022/02/12 11:45

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