レストラン「ドイツ亭」 公演情報 劇団民藝「レストラン「ドイツ亭」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    ドイツのベストセラー小説の日本での劇化。脚本は長田育恵。長田主宰のてがみ座と民藝の
    合同公演。演出は民藝の丹野郁弓。
    この小説がいつ書かれたのか知らないが、舞台はほぼ、六十年前、ようやくドイツ国内でホロコーストが裁かれるようになった時代である。その裁判のポーランド語訳者として法廷に出ることになった「ドイツ亭」の娘(賀来梨夏子)の視点からのアウシュビッツものである。十五分の休憩を入れて二時間半足らずだから長い芝居ではないが、登場人物も三十人近く多い上に、小説の脚色にありがちの人物設定、説明も多くかなりもたれる。
    ドイツと日本は同じ敗戦国でありながら、一応前世紀の間にその位置を回復した。六十年前には、負の遺産の清算ではさまざまな場面で国民も生傷を負った。戦前生まれの私にはそれはよくわかる。それを忘れないでおこうという事も大事だが、それならもっと、今の若い人たちが共感できるような作りがあったのではないだろうか。このドラマを作った人々はほとんどその時代を生きてない。無理にその時代に戻るよりも、現今の民族国家の問題点を生きたドラマにすることの方がよほど訴求力があると思う。運悪く私は長田育恵の評判の良かった作品を見逃しているが、見た作品からでも今注目されているア・ラ・フォーティの女性劇作家の実力者の一人だという事は知っている。海外を舞台にすることも、時代を超えて設定することも、ドラマには便利かもしれないが、そこは、無理にでも祖国のドラマを祖国の人間と文化の中で描いてほしい。日本固有の歌人を素材にちゃんといいホンが書けているではないか。


    ネタバレBOX

    ベストセラーと言うだけあって、昔の婦人雑誌の連載小説風の波乱の筋書きが繰り広げられるが一向に観客に届かない。客席は例によって、白髪の老人ばかり若者はほとんどいない。実際を知っている老人に表面だけ取り繕ったドラマを見せてもらっても仕方がない。と言うのが本音だろう。

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    2022/02/09 11:16

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